ビーチコーミングをした話
お盆で高知に帰った時、少しだけ浜辺に降りて歩いてみたという話を忘れていたので、今からします。
高知の海は、タカラガイなどといった貝やシーグラスが結構取れる、らしい。ゆえにビーチコーミング(海岸や浜辺に打ち上げられた漂着物を拾い集めたり、観察したりする活動)が非常に捗るのだとか。
とはいえ、私にとっては見慣れた景色で、むしろ「なんで拾っても拾ってもゴミが捨ててあるんだ!」と幼い頃には憤慨したものである。実際はそこにポイ捨てしている不届き者がいるわけではなく、毎日海からゴミが打ち上げられているだけでした。つまり海にゴミを捨てた不届き者はいるわけですね。やめろ!!
「ほう! これはお宝の海ではないかー!」
浜辺に降りた武士は、目を輝かせて走り出した。が、すぐに足を止める。どうしたのかと思っていたら、武士は引きつった表情でこちらを振り返った。
「大家殿……! どこをどう歩いても、貝を踏んでしまうぞ!」
いいよ。みんな死んでるから。
「そんな殺生な!」
そういう場所だから……。
「しかし、これほどの貝が石と共に敷き詰められているとは……。ぬおおおっ! 掘っても貝が出てくるぞ!!」
そういう場所だから……。
「なにゆえ!!!!」
え? 知らん。
海が運んでくるんじゃない?
「なにゆえ!!!!」
そういう波というか、潮の流れで……?
「どういうことだ!!!!」
見るもの全てが不思議に満ちた三歳の坊やか? あとで自分で調べなよ。
「おおおお大家殿! 大きな貝を見つけたぞ! 美しい柄であるため壺かと思った!」
いいもの見つけましたか。何より。
「それからこのつやつやで丸い石!!」
石。
「愛らしい!!」
よかったね。
「大家殿!!!!」
今度は何。
「足に水は浸けてよいか!!!?」
興奮のあまりちょっと文法がおかしくなってるよ。まあ、いいよ。
「ぬおおおおおーーーーっ!!!!」
あ、走っていった。お前あんまりはしゃぐと……。
「んだばぶぁっ!!!!」
転んだ! 言わんこっちゃねぇ!!