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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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ビーチコーミングをした話

 お盆で高知に帰った時、少しだけ浜辺に降りて歩いてみたという話を忘れていたので、今からします。

 高知の海は、タカラガイなどといった貝やシーグラスが結構取れる、らしい。ゆえにビーチコーミング(海岸や浜辺に打ち上げられた漂着物を拾い集めたり、観察したりする活動)が非常に捗るのだとか。

 とはいえ、私にとっては見慣れた景色で、むしろ「なんで拾っても拾ってもゴミが捨ててあるんだ!」と幼い頃には憤慨したものである。実際はそこにポイ捨てしている不届き者がいるわけではなく、毎日海からゴミが打ち上げられているだけでした。つまり海にゴミを捨てた不届き者はいるわけですね。やめろ!!


「ほう! これはお宝の海ではないかー!」


 浜辺に降りた武士は、目を輝かせて走り出した。が、すぐに足を止める。どうしたのかと思っていたら、武士は引きつった表情でこちらを振り返った。


「大家殿……! どこをどう歩いても、貝を踏んでしまうぞ!」


 いいよ。みんな死んでるから。


「そんな殺生な!」


 そういう場所だから……。


「しかし、これほどの貝が石と共に敷き詰められているとは……。ぬおおおっ! 掘っても貝が出てくるぞ!!」


 そういう場所だから……。


「なにゆえ!!!!」


 え? 知らん。

 海が運んでくるんじゃない?


「なにゆえ!!!!」


 そういう波というか、潮の流れで……?


「どういうことだ!!!!」


 見るもの全てが不思議に満ちた三歳の坊やか? あとで自分で調べなよ。


「おおおお大家殿! 大きな貝を見つけたぞ! 美しい柄であるため壺かと思った!」


 いいもの見つけましたか。何より。


「それからこのつやつやで丸い石!!」


 石。


「愛らしい!!」


 よかったね。


「大家殿!!!!」


 今度は何。


「足に水は浸けてよいか!!!?」


 興奮のあまりちょっと文法がおかしくなってるよ。まあ、いいよ。


「ぬおおおおおーーーーっ!!!!」


 あ、走っていった。お前あんまりはしゃぐと……。


「んだばぶぁっ!!!!」


 転んだ! 言わんこっちゃねぇ!!

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