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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
632/676

最終日

 そういうわけで、実家に顔を出して帰路についているという事情です。え? 実家の話がなかったって? だってあんまり面白いこともなかったし……。結婚の催促されたのと高知に戻ってこいって言われたぐらいで……。


「大家殿は、いずれ親元に帰るのか?」


 ――帰る途中に立ち寄ったサービスエリアにて、海を臨みながらのランチ中、武士にそう尋ねられた。

 いずれ……いずれ、なぁ。そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。正直、帰るべきなんだろうなとは思うけど、今はあんまり考えたくないなーって感じ。


「長男たる身であれば、家を継がねばならんのでは?」


 一般的にはそうだね。お墓もあることだし……。

 でも家業があるわけじゃないし、私にだってそれなりのキャリアがある。それに私が高知に帰るとなれば、お前もどうするんだよ。いよいよ自立して一人で家を借りるか?


「え?」


 え?


「某は大家殿についていくが」


 なんでだよ。自立しろよ。

 いやいや、高知に帰る選択肢はナシだろ。お前突然江戸から現代に来たんだぞ? だったらまた突然江戸時代に戻されるかもしれない。そうなった時に高知にいたら大変じゃない?


「ううむ」


 よく考えろー。お前の人生なんだから。


「……」


 ……。


「思うに」


 うん。


「大家殿の意見も必要ではないかと」


 私の?


「うむ。某の進退は大家殿の人生に関わる話でもある」


 えー。

 ……まあ、私はなんでもいいよ。お前がどこに行っても。


「そうか」


 うん。自由に生きればいい。


「そうか」


 行きたい場所に行けるよう、応援ぐらいはするけどさ。


「うむ。わかった」


 うん。




 そんな会話を武士とした。結局保留と先延ばしばかりで何も答えは出ていないな。

 現状維持である。まあ解決しないといけなくなった時に考えればいいか。


 帰りは安全運転。何事もなく無事に帰ってきて、泥のように眠ってからハムスターを迎えに行きました。皆様、数日お付き合いいただきありがとうございます。

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