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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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アイスクリン

 酒うめー! アホみたいなジョッキで飲むビール全然減らねー!!


「大家殿、ブンタンとやらの酒がうまいぞ! これは買って帰らぬか!?」


 いいよぉ! あとミレービスケットといもけんぴ買って帰って総摂取カロリーに絶叫しようぜ!!


「餃子がなんともうまいぞ、大家殿。これも持ち帰りたい」


 実家への土産にいいかもなぁ。

 いや、だめだ。いい匂いに耐えられず旅館で消費される。


「うへへへへ」


 うへへへへへへへ。


 そうやって人間がダメになりながら、どれほどの時間過ごしたでしょうか。


 数時間後、我々は高知城を下から眺めていました。


「ぬあー」


 うおー。


「城であるな」


 城ですわ。


「殿はおるのか?」


 もう死んでる。


「落城!?」


 あ、殿様が亡くなってるってだけで落城はしてな……あれ? どうだっけ? だめだ、酒で頭が回んないや。

 まあどうせ酔っ払いは中に入れないんだし、お外で酔いをさますためのお散歩してような。


「うむ」


 はー、しかしあっついねー。夕方になったら多少は涼しくなるかと思ったけど、どっこいどっこい。こうなりゃ早々に散歩はやめて宿に戻ったほうがいいな。


「うむ、水は多く飲んだが、やはりそれだけでは……うむ?」


 どうした。またケツぶつけた?


「かように開けた場所でどこに尻をぶつけるというのだ。否、あれを見よ」


 あれ?

 ……あー、アイスだ。アイスクリン。


「ほう、あいすくりん」


 高知の名物アイスだよ。シャーベット状でさっぱりした味だからどんなタイミングでも食べやすい。

 酔っ払いのぼやけた頭にも素早く届く。


「いただこう」


 任せろ。

 露天のアイスクリンにはいろんな味があるんだ。白、いちご、ソーダ、チョコレート、ゆず……。武士はどれにする?


「白?」


 白。


「ばにら?」


 ではない。白。


「……では、白といちごで」


 私は白とチョコにしよう。すいませーん!




 そして我々は、アイスクリンを食べながら宿へと帰るのである。


「うむ、うまいな。酒に熱された体にしみる」


 だろう。


「しかし例の羊羹といい、このあいすくりんといい……酒の邪魔をしないのはなにゆえ」


 高知の料理って、なんかわかんないけど全体的に酒のアテ感があるんだよね……。

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