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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
63/676

黄色

 秋。


 緑一色だった葉が赤や黄色に色づき、見ているだけで気分が高揚してくる季節だ。


 ……紅葉だけに。


 ごめん、つまんないこと言った。時々思いついたらすぐ言いたくなるんだ。申し訳ない。


 それはさておき、今私の目の前にある大きなイチョウの木も、かつて緑色だった葉を黄色に染めて私の目を楽しませてくれている。

 足元に落ちたギンナンは独特の臭気を発するが、私は案外これが好きだったりする。



 ――ああ、そんな素晴らしい秋という季節に。



 ――なあ武士よ。

 何故お前も黄色くなっているのだ。



「ミカンを食べ過ぎた」


 時期的に早くない?


「箱買いしたのは大家殿ではないか。家にいるとついつい食べてしまうでな、気づけば某の手足が黄色くなっておった」


 つまり柑皮症というヤツである。ベータカロテンとかそういうアレを多く摂取しすぎた時に、なんやかんやで肌が黄色くなるらしい。別に害があるわけではないのだが、誰も好き好んで黄色くはなりたくないだろう。なので、こうなってしまうとミカンは控えた方がいい。


 とはいえ、黄色いのが治るまでざっと一ヶ月から三ヶ月はかかるらしいのだが。


「ならばもう手遅れということだな。某はこのイチョウの木と共に黄色く色付こうぞ」


 武士は、イチョウの幹に手を当ててよく分からないことを言っていた。


 これが俗に言うイエローモンキーってヤツなのかな。

 私はそんなことを思ったが、武士はまだ横文字が苦手なので、じっと黙って肯首していたのである。

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― 新着の感想 ―
自分はめっちゃミカン食ってますが黄色くなりません。個人差?
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