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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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高知を食べよう!

 泊まるお宿に荷物を置かせてもらい、私はついに運転から開放された! やっほー高知!!


「腹が減ったな」


 武士が自らの尻を撫でながら言う。お前の腹いつからケツに引っ越したの?


「つい先程、宿の柱に尻をぶつけてしもうた」


 角にぶつけるの、小指に先んじてケツがくることあるんだ……。

 ともあれ、腹が減ったってんならいいとこあるぞ。


「ぬ、そうなのか? 某てっきり、さうなのついでに飯を食うのかと」


 せっかく高知に帰ってきたんだからな。高知の食を楽しめる場所に連れて行ってやるよ。


「ほう?」


 その名も……ひろめ市場!


 飲んだり食べたりするなら、とりあえずここ! 土産も服も雑貨も置いてるぞ! 高知のごった煮を楽しみたいなら間違いなし!

 なお一番の見所は平日昼間からスーツで酒をかっくらっている大人です。なんかいつもいたんだよな。今はわかんないけど……。


 いざ、入場!!


「おお……!」


 どうよ、武士! 活気にアルコールが混ざったこのテンション!


「屋台が並んでおる……。よもや、好きに買って好きに座って食えということか?」


 そのとおり。ここでは年がら年中祭りやってるみたいなもんだ。高知のお惣菜も買うことができるぞ。


「ほう。……おお、クジラが売っておるではないか」


 竜田揚げだろ。おいしいよ。


「む、これは見たことがないな。ふき……でもないし、なんだ?」


 いたどりだね。山菜だよ。


「おお、以前大家殿が食わせてくれたな。久しぶりである」


 高知ではおひたしにしたりして食べるからね、いたどり。

 つか見たことあるじゃん。


「お!? 大家殿、こちらに来てみろ! 何やら目がちかちかする物が置いてあるぞ! これは……うーむ、なんだ? 重石か?」


 透き通る緑色と白色とピンクで構成された、ケミカルな四角い物体……。

 残念ながらそれは重石ではありません。羊羹です。


「羊羹」


 羊羹。


「羊羹???」


 羊羹。


「食えるのか?」


 もちろん。


「……あ、甘いのか?」


 ニッキ味だからそれほどでもない。


「ニッキ味!!???」


 料理の添え物だからなぁ。べったり甘い羊羹はそんなに好まれなかったみたい。


「ほ、ほう。料理の箸休めと考えればわからんではないな……」


 なお羊羹と聞いて飛びついた高知の子どもたちをことごとく谷底に突き落としてきた。


「童にニッキは刺激が強かったであろう……」


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