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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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21時の車中泊

 で、散々道中のサービスエリアでエンジョイしまくった結果、到着時刻が遅れに遅れて今。

 私達はやはりサービスエリアにて車中泊を決行しようとしております。


「運転というものは非常に気が疲れるものである」


 武士もこの休息にご納得の様子。シートを倒し、いそいそとタオルケットを腹の上に乗せながら言う。


「体と気を休め、明日に備えよう。大家殿、ご苦労であった」


 うむ、くるしゅうない。

 いやー、車中泊なんて久しぶりだな。大学生以来か?


「だいがく……大家殿が若い頃にもこのような旅をしたのか?」


 旅ってほどじゃないけど、大学の友達と運転を交代しながら遠くのテーマパークまで行ったことがあるよ。


「おお、胸が踊る話であるな」


 そうしたら予想外の大雪が降ってさ、レンタカー代をケチってスタッドレスタイヤじゃないタイヤで来ていた私達は旅館の人にちょっと怒られた。


「すたっ……ああ、ふつうの車で行っておったということか? 雪を舐めるでない」


 舐めたつもりはなかったんです。雪国を知らなかっただけなんです。

 目が覚めてカーテンを開けた時に見た一面の雪景色と絶望の感情は今でも忘れられないぜ。


「若さゆえの過ちであるな。某にも心当たりがある」


 お、武士もそういう失敗が?


「うむ。若かりし頃の某はそれは無鉄砲でな」


 うんうん。


「力士に勝負を挑んでしまったのだ」


 無鉄砲過ぎない?

 え、なんでそんなことになったの?


「その力士が……うむ、目に余る暴挙を……店で……おなごに手を上げようと……」


 おおっ! 珍しくちゃんとしたお前の武勇伝が聞けそうじゃん!

 頑張れ、武士! もうちょい起きてろ!


「某があんみつと共にとびこみ……一言……某の命を粗末にするな……」


 今早めの命乞いしなかった?


「ぐー……」


 あ、寝るな寝るな! だいぶ気になってんだから今!

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