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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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休日ハッピー、ゴートゥーホスピタル

 さあ休日だ! 待ちに待った休日だ!

 しかし私は今日も出勤である! おっかしいなぁ、仕事の目処が全然立たない。生まれたての赤ちゃんぐらい立つ気配がない。


「本日もお勤めご苦労さまである!」


 一方、年中バケーションの武士は目玉焼きをすすりながらビシッと敬礼している。敬礼なんてどこで覚えてきたんだか。Youtubeかな。Youtubeといえば、最近の武士は「ととんとんさふさふ」「とららららら」とか言っていて怖いです。


「否。とんとんとんさふーる、とらられろとららら」


 わかんねぇよ怖ぇよ。


「気をつけて行ってくるがよい」


 うーい。武士もおりこうさんで過ごすんだぞ。


「うむ」


 しかし武士の返事を背中で聞いた、その時である。

 んもぎょ、だか、びょおん、だか、そんな声が聞こえた。

 いずれにしてもただごとじゃない声である。「どうした!?」と振り返った私が見たのは――



 無様に尻を天井に突き出して、床に倒れた武士の姿だった。



 え!!?? あの一瞬で何が起こったの!?


「腰に……重たい一撃が……」


 なにそれ!? 我が家に曲者!?


「そうに違いない……」


 絶対違うだろ! 落ち着け!

 何があったか順を追って話してみろよ。


「某、麦茶のおかわりをいただくべく立ち上がろうとしたのだ……。するとやおら、腰にバチンピシッとした痛みが……」


 バチンピシッ?

 ……あー、もしかしてぎっくり腰になっちゃったかな?


「ぬううん。ぬうううん」


 腰はなー、体の要だからなー。この部分が痛いだけでほんと毎日気が滅入るぐらいだし、早く病院に行くべきだろう。

 仕方ない、会社を休んで武士を病院に連れて行こう。大事な大事な同居人が苦しんでいるのだ。放置しておくことはできない。


「大家殿、なにゆえ笑っておるのだ?」


 笑ってなんかいないさ、お前が苦しんでるってのに。

 でも病院の帰りにたこ焼きとかき氷食って帰ろうな。


「ここぞとばかりに夏を楽しもうとしておらんか?」


 明日の私は今日の私にキレ散らかしているだろう。


「焼肉翌日の大家殿が早くも再来であるな」

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