休日ハッピー、ゴートゥーホスピタル
さあ休日だ! 待ちに待った休日だ!
しかし私は今日も出勤である! おっかしいなぁ、仕事の目処が全然立たない。生まれたての赤ちゃんぐらい立つ気配がない。
「本日もお勤めご苦労さまである!」
一方、年中バケーションの武士は目玉焼きをすすりながらビシッと敬礼している。敬礼なんてどこで覚えてきたんだか。Youtubeかな。Youtubeといえば、最近の武士は「ととんとんさふさふ」「とららららら」とか言っていて怖いです。
「否。とんとんとんさふーる、とらられろとららら」
わかんねぇよ怖ぇよ。
「気をつけて行ってくるがよい」
うーい。武士もおりこうさんで過ごすんだぞ。
「うむ」
しかし武士の返事を背中で聞いた、その時である。
んもぎょ、だか、びょおん、だか、そんな声が聞こえた。
いずれにしてもただごとじゃない声である。「どうした!?」と振り返った私が見たのは――
無様に尻を天井に突き出して、床に倒れた武士の姿だった。
え!!?? あの一瞬で何が起こったの!?
「腰に……重たい一撃が……」
なにそれ!? 我が家に曲者!?
「そうに違いない……」
絶対違うだろ! 落ち着け!
何があったか順を追って話してみろよ。
「某、麦茶のおかわりをいただくべく立ち上がろうとしたのだ……。するとやおら、腰にバチンピシッとした痛みが……」
バチンピシッ?
……あー、もしかしてぎっくり腰になっちゃったかな?
「ぬううん。ぬうううん」
腰はなー、体の要だからなー。この部分が痛いだけでほんと毎日気が滅入るぐらいだし、早く病院に行くべきだろう。
仕方ない、会社を休んで武士を病院に連れて行こう。大事な大事な同居人が苦しんでいるのだ。放置しておくことはできない。
「大家殿、なにゆえ笑っておるのだ?」
笑ってなんかいないさ、お前が苦しんでるってのに。
でも病院の帰りにたこ焼きとかき氷食って帰ろうな。
「ここぞとばかりに夏を楽しもうとしておらんか?」
明日の私は今日の私にキレ散らかしているだろう。
「焼肉翌日の大家殿が早くも再来であるな」