明日に繋がる健康を
最近、体重の増加に弾みがついたように思う。
普段そこまで食べているつもりはない。だが武士にそう言ったところ、「大家殿は食後必ず甘いものを口にしておるではないか」と言い返された。確かに、体重の増加に伴って買い置きチョコの減少っぷりも目を見張るものがあった。武士は正しいのだろう。
そこで私はスマートフォンにインストールしたのだ――食事管理アプリを!
「面倒であろう」
しかし武士はこの顔である! 眉間に皺を寄せ、口はひん曲がり、なんともまあ醜悪な顔!
「そも食というものは自然に楽しむべきである。いらぬ手間を挟むなど、せっかくの米が味気なくなってしまうぞ」
ところがどっこい、最近の食事管理アプリはすげぇんだぜ。メニューの写真を撮るだけで勝手にカロリー計算してくれるんだ。
「ほう」
試しにここにある菓子パンを撮影してみようか……えいっ!
「揚げ豆腐と出たな」
じゃあこれは揚げ豆腐だ。ヘルシーだから二個食べてもいい。
「欺瞞を働くでない」
だって残業続きの毎日だよ。糖分の過剰摂取は脳に直接届くんだよ。
「なんのための管理あっぷりゅか」
あっぷりゅ~(残業で溶けた脳)。
「それにしても菓子の食い過ぎで肥えるとは贅沢な悩みよの……。某がおった所では明日の飯もままならぬ者が大勢いたというのに」
う、それを言われると耳が痛い。江戸時代は当然、現代ほど食の供給が安定していないからな。
でも食べることができれば、その内容は米や豆類、魚類が中心。つまり、もし三食食べることができ、かつ適度な運動をしていれば、食事管理アプリで高得点を叩き出せるような健康的な生活が送れるのである!
私も見習わなければ! そうと決まれば武士、明日からはしばらくお江戸リスペクトメニューに変更するぞ!
「否、某は牛の肉が食いたい」
明日は焼き肉にするか~!!!!(残業で溶けた脳)




