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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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日傘でGO

 いくらなんでも暑すぎる。

 そう思った私と武士は、雑貨店へと来ていた。


「本日の買い物は……」


 おう。


「ぬいの者に被せるえびふらい」


 違う違う違う。お前そんなのほしがってんの?

 日傘だよ。えげつない日差しから私達を守ってくれる日傘。


「そこが不思議であったのだ。大家殿は日傘を持っておらんかったのだな」


 そう? 女の人ならまだしも、男の人なら持ってないこと多いんじゃない?


「なにゆえ? 上よりふれでもあったのか」


 ふれ?


「日傘はひとごみのある所であるとよろしくない、使うべからずとの御触書が」


 そんなのないよ。強いて言うなら、日傘は女の人が使うものってイメージが大きいからじゃないかな。あと、ちょっと前までデザインもひらひらしてたりお花の模様ついてたり、女性的なデザインのものが多かったんだよね。


「ほう、花とは粋ではないか。何を気にすることがあろうか」


 それはそうかもしれない。


「では、ここのところ男向けの日傘が出てきたと。何が描かれておるのだ? 縞模様か? 歌舞伎役者のような柄もよいな……!」


 夢を壊すようで悪いけど、この外側が白くて内側が黒い日傘がそうです。


「よいではないかー! 着物でいうところの八掛であろう? 黒を使うことで締まって見えるな!」


 喜んでくれて何よりだ。実際は紫外線を通さないための合理的なデザインなんだけど。

 二本買うかー。効果は帰りながら実感しような。


「うむ!」


 はい、買った! これで私も武士も明日から日傘の民!

 さあお外に出てきましたよ。早速差してみるぞー!


「ぬおっ」ばさっ


 うおっ。

 ……。

 いかがよ、武士。


「良いぞ。いつでも日陰ができるのはやはり良いな」


 だよな。ただ……。


「ああ。地面から立ち上る湯気は如何ともしがたいな」


 アスファルトは照り返しきついよね……。


「閃いた。日傘に穴を二つ開けてそこに足を突っ込めば」


 愉快なおじさんが誕生するね……。


「二人もな」


 私もやる前提なの?

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