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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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すいかうめぇ

「スイカがうまい!!!!」


 素敵な土曜日の朝。武士が真理に到達した。


「うまし!!!!」


 半月状のスイカを両手で掴み、がつがつとこどものようにむしゃぶりついている。これを公共の場でやるとマナーだのなんだの言われるかもしれないが、知ったことか。ここは自宅、すなわち我々が法だ。


「ううむ。しかしこのスイカ、ちよちよと小川の流れる音を聞きながら、冷たき川に足を浸からせて食べたらさぞうまかったろうに」


 私がこどもの頃なら、それもできたんだろうけどね。今は一日中エアコンが必要な気温になっちまったから難しいな。


「しかしスイカの旨さには変わりなし。某は引き続き味わおうぞ」


 食べすぎてお腹壊すなよ。

 でもなんだなぁ。お前がそんな情緒的なことを言うってことは、江戸にもスイカあったの?


「あったぞ」


 あったんだ。


「だがこれほど甘くはなかった」


 そうなんだ。


「このスイカを江戸に持ち帰れば、某はスイカ売りとしてたちまち人気者になってしまうだろう……」


 ちょっとうっとりしてるな。時々お前そういうこと言うけど、商売人として大成したい野望でもあるの?


「よいものは皆で分け合わねばならん」


 いいこと言う。


「その際、ちょっとばかり某に銭が舞い込めばいと嬉し」


 まあ商売の基本はそれだよね。

 ……種ぐらいなら持って帰っても大丈夫かな? いや、現代の品種改良が重ねられたスイカが江戸時代に出現しちゃったら、とんでもないオーバーテクノロジーになるか……。さすがにスイカひとつで未来が滅びるようなバタフライ・エフェクトは起きないと思うけど。


「何をぶつぶつ言っておるのだ。ばたぴー?」


 バターピーナッツの話はしてないよ。スイカに塩っ気がほしいのか?


「砂糖ではなく?」


 スイカに砂糖かけんの!? 甘さがとんでもないことになるだろ!

 スイカに塩振るとなんかおいしいんだよ。持ってきてやるから持ってな。


「ぬー」

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