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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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あつすぎるからね

 気が狂いそうなほどに空が青い。夏だ。

 洗濯物なんてベランダに出した瞬間水分が蒸発しそうな勢いである。ついでに人間の水分も持っていかれてる。


「某の気の所為なら良いのだが、心なしか昨年よりも暑くなっておらぬか?」


 由緒正しい江戸の男も、うちわを手放しクーラーの前で両手を広げる始末である。やめろよ。私に当たるクーラーの風が一旦お前を経由してるじゃん。

 確かに今年は一瞬で梅雨が終わったからね。去年よりも暑くなっても不思議じゃないと思う。


「梅雨と暑さは関係あるのか?」


 詳しくないけど、梅雨が早めに終わった分真夏が長く続くんじゃない?


「ぬおおおおお、やってられんぞぉ!」


 それもこれもお前が梅雨明け音頭を踊ったせいでは?


「あの舞にそのような力はない」


 わかってて踊ってたのかよ。なんなんだよ、お前は。


「しかしこうも暑いと気も削がれるな……。おおそうだ、大家殿。よかったら今晩蛍を見に行こうではないか」


 いねーよ、蛍なんざ。


「そうなのか? しかし、三駅向こうに川があるではないか」


 あるにはあるけど、蛍はいないよ。いたとしても5月じゃないと見られないんじゃないかな?


「なぬ……」


 そもそも夏でもとんだ暑さだろ。今や夏が始まった合図は熱中症アラームなんだよ。大人しくクーラーをつけて過ごそうな。


「もしや、この〝家涼み・えれきてる箱〟がなければ人は滅しておったと?」


 いや、さすがに人類絶滅レベルの暑さじゃ……。

 ……。

 そうなのかもしれないな……。


「やはりか。ならば某が江戸に帰った暁には、皆にえれきてるを急がせねば」


 ああっ、武士が決意を新たに。バタフライエフェクトが起きて悪いことにならなきゃいいんだけど。


「ばたぴー?」


 塩辛くておいしいおつまみの話はしてねぇんだよ。

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