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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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ハムを見ながら

 また眠れない日が訪れたので、回し車を走りまくるハムスターを見ていた。そこでふと思ったのだ。そういえば、武士が朝トレーニングするところを見たことがないと。

 近くの神社で走り込んでいるということは知っている。以前何度か目撃情報が上がってきていたからだ。なので、夏休みに入った時、虫取りのために朝の神社を訪れるお子さんがいれば、ちょんまげマッチョに遭遇できるかもしれませんね(笑)


 ハムは何かに取り憑かれたかのようにカラカラと回し車を回している。しかし、永遠には続かない。やがてハムはへろへろと回し車から降りた。


 そして、武士が私に黙ってこっそり買っていた“ひんやりする天然石プレート”の上に体を横たえ、気持ちよさそうにうとうとし始めたのである!


 なんだと……!? 乗っているのを見かけたことなど一度もなかったのに!

 何なら、「いらなかったじゃーん」みたいなことまで言ってたのに!


 しかし、以前までは使わなかったものを気が変わって使い始める……なんてことはよくある。ハムスターだけじゃなく人間でもそうだ。それに、運動したあとなら体温だって上昇しているだろう。クーラーの冷気だけではなく、直接体を冷やすものだってほしいはずだ。


 ……。


 直接体を冷やすものか……。





 〜翌朝〜


「ただいま帰ったぞ、大家殿! それにしてもいよいよ暑くなってきおったな! これはもう少し早い時間に出るべきか……」


 おはよう、武士。


「起きておる!!!????」


 幽霊見たレベルで驚くじゃん。確かにいつもの私はこの時間まだ布団にいるけど。

 それよりほら。これ飲め。


「おお、なんぞ?」


 凍らせるタイプの熱中症対策用ゼリーだよ。今ならシャーベット状になってて飲みやすいはずだ。


「ぬ?」受け取る

「ぬおっ?」一口飲む

「ぬおおおおおっ!!?」目を見開いてガンガン飲む


 言われなくてもわかってると思うけど、こまめに水分補給はしなよ。


「うおお……! 熱された体にこれは生き返るようだ! まことに美味い! しかし大家殿、なにゆえ突然このようなものを?」


 ……。

 ハムスターが……運動したあとにひんやり石を使ってたから……。


「ほれみろ! あの石は買ってよかったであろう!!」


 うるせぇ! お前は敬虔な信者のように私とゼリーに感謝してろ!!

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