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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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のりたま

 江戸時代の人間が現代日本へタイムスリップをしたらどうなるか。おそらく日本史上圧倒的に豊かな時代ではあるが、繊細な者や真面目な者であれば早い段階で心を病んでしまっても不思議じゃない。

 だが、そこそこいい加減でおおらかな性格の者ならば――?


 そう。のりたま(ふりかけ)にハマる。


「なんぞこれはーーーーーっ!!!!」


 武士がのりたまののった白米を盛大にかきこみながら叫ぶ。米不足が騒がれる昨今だが、今この瞬間だけは忘れてしまいそうな勢いだ。なお、後日米を買う時に悪夢のようにこの光景がフラッシュバックします。


「こ、こ、此はなんぞ大家殿!? 米に色をつけ味が変わるとは何事か!?」


 そんなに驚くことないだろ。ノリは佃煮だよ。


「海苔が佃煮!?」


 更に混乱させてしまった。

 ええと、雰囲気的には佃煮……違うか。まあごはんのお供ってところだよ。


「否! 米のお供にしては米と同じになりすぎている! これは……あたかも、米の召し物!」


 米の服ってこと? 確かにそう見えなくもないか。


「メシものだけにな!」


 やかましいわ。


「うまい……うまい。なんととんでもないものであるか。摩訶不思議なこの味……握り飯にして店を開けばさぞ繁盛することだろう」


 確かに江戸時代でもひと財産築けそうだね、のりたま。

 あ、でも摩訶不思議じゃないよ。その味はちゃんと名前がある。


「なんぞ?」


 たまご。


「たま……ご……?」


 たまご。


「……」


 ……。


「ならば……ますます江戸で売れてしまうではないか……」


 江戸時代、たまごが貴重だったからね……。

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