ジグソーなパズル
ただいま。
武士よ、職場の上司からあるものをいただいてきたぞ。
「ぬ、いただきます」
気が早い気が早い。
そんで残念ながら食い物じゃないんだ。
「ぬん……」
露骨に残念そうにするな。ほら、これだよ。
「……これは? 何やら細かいな。お、ひとひらひとひらに絵が描いておる。しかしどれもこれも珍妙な形で……」
それな、ジグソーパズルってんだ。
「ちくたくのずる?」
時を刻む噴出口?
違います。ジグソーパズルというのは、一枚の絵を細かくバラバラにしたものであり、ピースを繋げることによってまた元の絵に戻す遊びを差します。
「無益な時間?」
そんなことないよ! 頭を使う高尚な遊びだ!
とにかくやってごらんよ。おもしろいから。
「すまぬが、某はぽぽを眺めるのに忙しいゆえ」
ハムスターはまだ爆睡中だろ! いいからやってみろって。
「ぬぬん」
ほら、これが元の絵ね。最終的にこの絵のとおりに完成させるんだ。
「元の絵に比べて欠片が小さすぎやしないか?」
そんなことないよ。ほら、ここ見て。壺の口っぽいところが描かれてるだろ? 元の絵を参考にすると、どうやらこのあたりに……。
「ぽぽよ、ひまわりの種を隠しておいてやろうか」
諦めるんじゃない。
わかった、まずは端っこから片付けていこう。な!
端っこから攻めていくのはオーソドックスな手段なんだよ。平べったくなっている部分があるピースを探せばいいからね。
「大家殿、このぴぃすは二つ平べったい部分があるが」
お、早速見つけられたじゃん。それ角のピースだよ。どの角に当てはまるか自分で探してみな。
「ふぅむ……右上か? 否、左下か。ほうほう」
それで、そこからどんどん端っこを埋めていけばいいんだよ。似たような柄を集めて嵌めてみたりしてさ。
「ふむ……ふむ。ならばこれなど……ううむ、違うか。しかしこれであれば……」
お、ちょっと楽しくなってきてるね? いいぞいいぞ、その調子だ。
……あ、ハムスター起きた。すげぇ餌を求めている。めちゃくちゃ扉舐めてんな。おーい、武士。ハムの世話する時間だぞー。
「しばし待たれよ!」
だめだめ、ハム優先。今日はお前トイレ当番ねー。




