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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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ジグソーなパズル

 ただいま。

 武士よ、職場の上司からあるものをいただいてきたぞ。


「ぬ、いただきます」


 気が早い気が早い。

 そんで残念ながら食い物じゃないんだ。


「ぬん……」


 露骨に残念そうにするな。ほら、これだよ。


「……これは? 何やら細かいな。お、ひとひらひとひらに絵が描いておる。しかしどれもこれも珍妙な形で……」


 それな、ジグソーパズルってんだ。


「ちくたくのずる?」


 時を刻む噴出口?

 違います。ジグソーパズルというのは、一枚の絵を細かくバラバラにしたものであり、ピースを繋げることによってまた元の絵に戻す遊びを差します。


「無益な時間?」


 そんなことないよ! 頭を使う高尚な遊びだ!

 とにかくやってごらんよ。おもしろいから。


「すまぬが、某はぽぽを眺めるのに忙しいゆえ」


 ハムスターはまだ爆睡中だろ! いいからやってみろって。


「ぬぬん」


 ほら、これが元の絵ね。最終的にこの絵のとおりに完成させるんだ。


「元の絵に比べて欠片が小さすぎやしないか?」


 そんなことないよ。ほら、ここ見て。壺の口っぽいところが描かれてるだろ? 元の絵を参考にすると、どうやらこのあたりに……。


「ぽぽよ、ひまわりの種を隠しておいてやろうか」


 諦めるんじゃない。

 わかった、まずは端っこから片付けていこう。な!

 端っこから攻めていくのはオーソドックスな手段なんだよ。平べったくなっている部分があるピースを探せばいいからね。


「大家殿、このぴぃすは二つ平べったい部分があるが」


 お、早速見つけられたじゃん。それ角のピースだよ。どの角に当てはまるか自分で探してみな。


「ふぅむ……右上か? 否、左下か。ほうほう」


 それで、そこからどんどん端っこを埋めていけばいいんだよ。似たような柄を集めて嵌めてみたりしてさ。


「ふむ……ふむ。ならばこれなど……ううむ、違うか。しかしこれであれば……」


 お、ちょっと楽しくなってきてるね? いいぞいいぞ、その調子だ。

 ……あ、ハムスター起きた。すげぇ餌を求めている。めちゃくちゃ扉舐めてんな。おーい、武士。ハムの世話する時間だぞー。


「しばし待たれよ!」


 だめだめ、ハム優先。今日はお前トイレ当番ねー。

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