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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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飲めたね

 武士は以前ちょっとした病気をしたために、未だ少なくない量の薬を服用している。江戸時代には治療法が確立されていなかった病気だろうから、小康状態を保てるという点では現代日本に来てくれてよかったなと思うのだ。


 が、長く続けば面倒になることもあるわけで……。


「閃いた。薬を砕き、米の上にふりかけとして乗せてはいかがであろう」


 だめだよ、その薬食前用じゃん。普通に服用しな。


「しかし、米に混ざればこの苦みも抑えられるかと思うのだ」


 ああ、そういう悩みか……。確かに毎日飲む薬が苦いとつらいよね。

 そんなあなたにこちら! どん! 『おくすり飲めたね』!


「待っておった」


 切らしててゴメンな。


「構わぬよ」


 『おくすり飲めたね』――言わずとしれた龍角散社の服薬専用ゼリーである。オブラートをおいしくして子どもが薬を飲みやすくしてあげよう! という優しい商品だ。うちの武士(成人)もお世話になっている。


「ぶどう味が好きでござる」


 そうか。買ってきたのはいちご味です。


「構わぬよ」


 どっちもおいしいもんな。ほら、飲んどいてくれ。私はそろそろ会社に行かねばならない。


「大家殿が風邪をひいたら分けてしんぜよう」


 いらんいらん。だってそれ、本来薬が飲めない幼い子が使うもんなんだぞ。特別措置でお前には買ってきてるけど、大人である私は使わないよ。


「そのようなことを言うとると、すぐ使わねばならぬハメになるぞ」


 いやいや、そんなフラグみたいな……。

 ……なんだか喉が痛い気がしてきたな。寒気もしてきたな。


「きたか」


 きとらん。風邪きとらんわ。


「大家殿の分は残しておこう


 大丈夫……大丈夫だって! マジでいらない心配だから! いってきまーす!!





 ※いちご味の〝おくすり飲めたね〟で葛根湯を飲もうとすると、量が多いせいかちょっと苦みが残りました。チョコレート味だと違うかもしれませんね。

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