ハッピーなセットでハッピーに
こども達がマクドナルトでハンバーガーを食べる際、おもちゃをつけてくれるメニュー。それがハッピーセット。しかし思わず大人までほしくなってしまうラインナップのおもちゃを取り揃えてしまうため、たびたび波乱が起こる。誤解を恐れず言うと、フリマアプリで高値転売される。こどもたちのおもちゃを横取りして稼ごうとするな。下手したら山賊のがまだ矜持あるだろ。
そしてこのたび、ちいさくてかわいい例のキャラクターたちが現れたことにより、再び賊どもは現れた。だが私たちは、〝じゃないほう〟おもちゃに夢中だった。
マインクラフト ザ・ムービーのおもちゃである!
「おお……賽になっておるではないか。これを開くと……おお!」
そう、サイコロ型になってるおもちゃを展開すると、中からマイクラにちなんだキャラクターが出てくる。そんで展開したサイコロには凹凸があって、付属のマイクラブロックシールでカスタマイズして好きなマイクラのフィールドを再現できるのだ。
とはいえ、おもちゃでハッピーになれるのはこどものほうがいい。ゆえに、我々は慎み深く前半と後半でひとつずつハッピーセットを買い……。
今、私たちの手元にはマイクララマとクリーパーがいるというわけだ!
「しかし、もののついでについてきたと思えぬほどよくできた人形だ。見よ、この哀愁漂う馬の顔……。某らに己が気持ちを訴えているようではないか?」
へえ。なんて言ってんの?
「ケツがかゆい」
言ってない言ってない。……いや、意外と結構尻がかゆそうな顔してるな。
それよりお前、シール貼って遊ばないの? 私のほうはもうできたけど。
「もう少しでできるぞ。これを貼れば……見よ! 名付けて、『ここは極楽、草津の湯』である!」
何その名前。……あ、水シールを温泉に見立ててるのか。いいね。
「これで馬のケツの痒みも収まるはずだ」
優しいじゃん……。でもこいつ、馬じゃなくてラマなんだよな。
「ガマ?」
かえるじゃない。
「して、大家殿はどのようなものを作ったのだ?」
よくぞ聞いてくれた。こちらです。じゃん! 『ここはデンジャラス、地獄の湯』。
「物騒にも程があるが、一面が紅に染まっておるからのう」
溶岩風呂で命削ってると、当店女将のクリーパーが背後から現れ、おもむろに爆発します。
「どうしようもないな」




