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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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祭りの翌日

 先日、武士とお誕生日会を開催しました。その翌日の話。


「ぬううん……のおおん……」


 地の底を這う巨大ナメクジのような声が聞こえる。武士(二日酔いのすがた)である。


「おおおお……みず……みずぅ……」


 状況が状況なら全然妖怪としてカウントできる風体だろう。そう言って普段の私なら大いに笑っていたに違いない。だが今は違う。


 おはようございます。巨大なめくじ二号です。


「おーや殿……これはなんだ? それがしの全身に毒が回っておるぞ……」


 そう、酒って毒なんだよ。勉強になったね。じゃあ時間を昨日の晩に戻してくれる?


「それがしにそのような力はない……」


 今出せ。


「無茶にもほどがある……」


 つかね、私今日も仕事なんだよ。家計のために稼いでこなくちゃいけないんだよ。

 それをこんな二日酔い如きで出社拒否なんておげぼぼぼぼぼぼぼ


「おーやどのー」


 おぼぼぼ。


「胃まで出たか?」


 出とらんわ。物騒なこと言うな。

 あ、でも吐いたらちょっと楽になった。武士も吐くといいよ。


「否。一度腹に入れたものは死んでも出さぬ」


 立派な心がけだな。その調子で循環型社会に順応していこうぜ。

 さて、今日だけSDGsに反旗を翻す私はもいっちょおぼぼぼぼぼぼぼぼ


「気軽に吐きおる」


 あー……よくない。こんな朝よくないよ。

 決めた。今後の私は二度と昨晩のような飲み方はしない。


「水を差すようで悪いが、去年も同じことを言っておったぞ」


 まじかよ。酒で流れたかな。


「年ばかり増やして肝心の中身が成長しておらんではないか」


 その言葉、結構な数の人類に刺さるから丁重に扱えよ。

 とにかく行ってきます。うー……今日は絶対運転しちゃだめだな。武士はしっかりお水飲めよ。


「うむ。今日の夕餉は粥にしよう」


 頼んだ。

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― 新着の感想 ―
刺さりました、はい、未だ成長してません。 何ならそろそろ退行し始めて…… 刺さっても癒されました。 いつもありがとうございます。 大屋どの、お仕事いってらっしゃい。 吐いたらできるだけ速やかに口を…
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