祭りの翌日
先日、武士とお誕生日会を開催しました。その翌日の話。
「ぬううん……のおおん……」
地の底を這う巨大ナメクジのような声が聞こえる。武士(二日酔いのすがた)である。
「おおおお……みず……みずぅ……」
状況が状況なら全然妖怪としてカウントできる風体だろう。そう言って普段の私なら大いに笑っていたに違いない。だが今は違う。
おはようございます。巨大なめくじ二号です。
「おーや殿……これはなんだ? それがしの全身に毒が回っておるぞ……」
そう、酒って毒なんだよ。勉強になったね。じゃあ時間を昨日の晩に戻してくれる?
「それがしにそのような力はない……」
今出せ。
「無茶にもほどがある……」
つかね、私今日も仕事なんだよ。家計のために稼いでこなくちゃいけないんだよ。
それをこんな二日酔い如きで出社拒否なんておげぼぼぼぼぼぼぼ
「おーやどのー」
おぼぼぼ。
「胃まで出たか?」
出とらんわ。物騒なこと言うな。
あ、でも吐いたらちょっと楽になった。武士も吐くといいよ。
「否。一度腹に入れたものは死んでも出さぬ」
立派な心がけだな。その調子で循環型社会に順応していこうぜ。
さて、今日だけSDGsに反旗を翻す私はもいっちょおぼぼぼぼぼぼぼぼ
「気軽に吐きおる」
あー……よくない。こんな朝よくないよ。
決めた。今後の私は二度と昨晩のような飲み方はしない。
「水を差すようで悪いが、去年も同じことを言っておったぞ」
まじかよ。酒で流れたかな。
「年ばかり増やして肝心の中身が成長しておらんではないか」
その言葉、結構な数の人類に刺さるから丁重に扱えよ。
とにかく行ってきます。うー……今日は絶対運転しちゃだめだな。武士はしっかりお水飲めよ。
「うむ。今日の夕餉は粥にしよう」
頼んだ。