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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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フリマ

 そういうわけでフリーマーケットへとやってきた。相変わらずここには、フリーマーケットからしか発生しない謎の活気に満ちている。


「おお……見ろ、大家殿! 着物が一山百円で売られておる!」


 そんな玉ねぎみたいな売り方はしてないよ。一着百円な。それでもめちゃくちゃ安いけど……。


「少々腹は出そうだが、夏によさそうだ」


 いや女児用ワンピースじゃねぇか! 着ようものならド変態の誹りは免れねぇぞ!


「問題ない。袴もはく」


 はいたところで焼け石にマグマなんだよ。警察が小走りで駆け寄ってくる未来しか見えない。

 つーかここ、こども用のスペースじゃん。ほらほら、別の店行くぞ。


「んぬぬ。ならばあちらはどうだ?」


 おお……かわいらしいピアスやイヤリングの店。いいな。女性客が列をなしている。

 でもお前、ああいうのも身につけるのか?


「着飾りたい年頃である」


 そっか、なら仕方ないな。じゃあ覗いてみようか。


 太陽の光を受けてきらきらと輝くアクセサリーたちを前に、それを見るお客さんの目も輝いているように見える。さて、武士はどんなアクセサリーを手に取るのだろう。

 ……そういえば、江戸時代のアクセサリーって何があるの?


「かんざし」


 ここにはないな……。


「女将よ、かんざしは作っておらぬのか」


「えっ? そこになければないですね……」


「見当たらん」


「ではありませんね……」


 武士は眉間に皺を寄せて悲しそうな顔をした。私を見ながら。

 いいえ、知りません。私とお前は他人です。

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