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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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シャベッタ

 帰宅すると、ケツに両手をあてた武士が床に転がっていた。でんぐりがえりをする途中で静止していると言えば伝わりやすいだろうか。そういう情けないポーズである。


 何ごと?


「よくぞ帰った大家殿」


 ケツが喋った。ビジュアル的には最悪だな。

 何? なんでこうなってんの?


「当ててみるがいい」


 突然のクイズ大会やめろよ。えー……?

 部屋の中でふざけていたら、テーブルに足をぶつけてひっくり返って、その拍子に尻をしたたか打ったとか。


「否」


 思った以上に喋るケツ腹立たしい。

 じゃあなんだよ。


「当ててみるがいい」


 セカンドチャンスもあるの? んー、じゃあ頑張ってみるか。えーと……。

 部屋の中で珍妙なダンスを踊っていたら、盛り上がりすぎて滑って転び、ベッドのふちに尻をしたたか打ったとか?


「否」


 このケツめ……。


「はよう当ててくれ。おつむに血がのぼってきた」


 そんな格好してるからだろ。正解できる気がしないし飽きてもきたから、早く普通の姿勢に戻りなよ。


「断る。某にも矜持というものがある」


 そのポーズで得られる矜持なんてないよ。


「良いから当ててみせよ」


 ええ……?

 ……。

 でんぐりがえりをしている途中で私が帰ってきたから、なんとなくその姿勢のまま止まってクイズを出してみた……?


「惜しい!」


 これで惜しいならマジで得られる矜持ないだろ。じゃあ私は晩ごはん食べますね。


「待て! 某をこのままにしておく気か!」


 早く復帰しなよ。


「戻れぬ! 戻れぬのだ! 軽い気持ちででんぐりがえりに手を出したら戻れなくなったのだ!」


 間抜けの極みじゃねぇか!


「矜持」


 ねぇよ!!

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