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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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万年筆の話

「ぬぬ、まこと面妖なる筆にて候」


 私がちょっとした書きものをしていると、武士が後ろから覗き込んできた。武士の顔が真横にある。アッパーカットが決まりやすそうな位置だ。


「大家殿、此はなんぞ」


 万年筆だよ。毛細血管現象を利用してインクが出てくるペン。


「もうさ……もさもさ?」


 筆はもさもさだが、万年筆はもさもさじゃないな。


「某も使ってみたい」


 だめだ。万年筆ってのは、力を抜いてサラサラ書くもんなの。お前筆圧バカ強ぇじゃん。ペン先弾け飛ぶわ。


「さらさら書くよう気をつけるゆえ」


 まことに〜? ほなちょっとだけ貸してやるよ。ほれ。


「さらさらさらさらさら」


 筆圧バカ高っ!!!! 口だけじゃねぇか!!!!


「のう大家殿、いくら押しても色がつかんぞ」


 そらそうだよ! お前ペン先ひっくり返して使ってんだから!!

 ああもう返してくれ。ほら、万年筆ってのは尖ってるほうを上にして使わなきゃいけないの。わかった?


「かようなことは事前に聞いておらんかったが」


 教えようとした矢先、サラサラほざきながら勝手に書き始めたアホがいたんだなぁ。


「困った輩がいたものである」


 わかってるならよろしい。あーあー、危ねぇー。万年筆ダメになるとこだったわ。


「やわな筆であるのう」


 やっぱ最初の段階でコイツにアッパーカット決めておくべきだったな。

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