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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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今日も今日とて腹が

 あっ、体調がよくない!


 何がいけなかったのだろう。最近夜寝るのが遅かったのが悪かったか。あるいはアレか。ノリと勢いで作ったキーマカレーが、睡眠不足で弱った体にダイレクトアタックを仕掛けてきたか。

 腹痛で苦しんでいる。


「大家殿は以前言っておったな。人は眠っている間に自らの身を修繕するのだと」


 っすね。


「であれば、ただでさえあらゆるものを溶かす液が滲む胃の腑が傷むのは当然ではないか? 幾度もの嵐で破れた屋根を修繕せんのと同じこと。直さねばいずれ朽ちるのだ」


 っすね。

 しかし正論は正露丸ではないので今の私には何の益にもならない。失せるか私の背中を撫でるかするがいい。


「なにゆえ背中?」


 腹痛、なぜか背中からさすってもらうと楽になる。しかもお前は体温高いしな。ちょうどいい。


「ふむ、ぬくいほうがいいなら湯にて手を温めてこようか」


 あれ、わざわざ? ありがたいけどなんで?


「さきほどまで氷枕を楽しんでおったのだ」


 早。早いよ。まだ5月の上旬だよ? 今から氷枕に頼るような有り様で現代日本の夏を乗り切れるの?


「その時は二つに増やすまでだ」


 解決するかなぁ。まあいいや。背中さすってくれ。


「今思ったのだが、ぬくいもののほうが良いのなら、某の手ではなく熱した鍋の底のほうがいいのではないか?」


 いいわけないだろ、そんなもんで背中さすられたら大火傷するだろうが。優しい口調で拷問を提案すな。


「ならば某が熱した鍋の底で手をぬくめてくることにする」


 なんで自ら苦難を選ぶんだよ。過激な修行僧か?

 つか、こっちは腹が痛いんだからふざけるなって。そういう技術が発達したら、迷わずお前に腹の痛み移すぞ。

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