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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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自転車、その後

 おはようございます。皆様におかれましては最近いかがお過ごしですか。

 先日ついに自転車を手に入れた武士ですが、未だ乗りこなすことあたわず。少し進んでは足をつき、また少し進んでは足をつき、そしてゆっくりと横に倒れ……という流れを繰り返しています。

 これではいけない。そう思った私は、人類の叡智を頼ることにしました。


 YouTubeの自転車解説動画です。


「なるほど、緩やかな坂道を使って練習をするのか……」


 その動画によると、緩やかな坂道を両足を離して下る練習をすることで、自転車に乗るためのバランスを鍛えるのだとか。なんならこの練習であれば、〝転んで覚える〟練習は不必要だそう。

 いいじゃん。これやってみようぜ、武士。


「……これは、この者が特別器用だっただけではないのか? 選ばれし者ではない某には叶わぬ方法なのではないか?」


 自転車はそんな勇者の剣みたいなアイテムじゃないから大丈夫だよ。

 というわけで、夕方緩やかな坂道のある運動公園に武士と来ました。さあ武士! 思う存分自転車に乗るといい!


「こわい」


 しかし武士は自転車にまたがったまま両足をぷるぷるさせていた。なんてスライムだ。

 怖いことあるか! 二歩で下りきれる程度のちっちゃいちっちゃい坂だぜ!


「否。傾きがある分、これまでより勢いがつき、某は激しく転んでしまうだろう……」


 すっかり自転車に怯えてしまっている。大丈夫だって。むしろ悪いイメージしてたらそっちが本当になっちゃうよ。試しに颯爽と降りる自分を想像してみたら?


「ぬぬ……」


 イメージトレーニングってやつな。

 でも結局、必要なのは思いきってやってみる勇気だよ。どう? いけそう?


「ううむ……某は自転車の天才……いずれ曲芸師としてすかうとを受ける者……」


 はえぇな、助長がよ。上達もその速度だったらよかったのに。


「いざ参る! ぬおおおおおおお!!!!」


 お、行け行け! 頑張れ武士!


「オンッ」


 転んだ!!!!

 でも勇気出したのはえらい!!!!


「今、某は風になっていた……」


 お、助長も続いている! いいぞ!

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