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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
541/676

職場の話

 最近、職場の別部署の先輩が何日も休んでいるなぁと思っていたら、奥さんに不倫がバレてこってり絞られていたという。まだ幼いお子さんを奥さんに任せっきりにして、自分は浮気相手とよろしくやっていたというのだから始末に終えない。


「けしからんな」


 婚約者に駆け落ちされた武士さんじゃないですか! 有識者のお通りだ! 道を開けろ!


「某はまだ良いほうだ。大人だけの問題として解決できたのだからな。しかしおさなごを置いて姦通に走るとは目も当てられん」


 そうなんだよ。一度写真見せてもらったけどかわいい子でさー。つーかあの人、自分のこどものこと可愛がってる普通のお父さんに見えたんだけどな。


「人は見かけによらないものだ。某がよく通っていた甘味屋の主人も昼間は実に気の優しい男だったが、夜な夜な生まれたままの姿で橋の真ん中に立っては、来る者を追いかけてふんどしを盗んでいたそうだ」


 最低なハイド氏じゃん。私が持ってきたエピソードが秒で霞んだんだけど。

 え、さすがに捕まったよね?


「否、ある晩にふんどしを奪おうとした相手が偶然にも役人でな。怒り狂ったその役人に反撃され、たたっ斬られて死んだ」


 因果応報な最期だな……。


「その訃報に某も驚いたものよ。まさかあの大橋のふんどし小僧の正体が甘味屋の主人だったとは」


 そんな通り名までついてたのか。


「だがその男ですら童は狙わなかったのだ。ゆえに大家殿が話せし男のほうが醜悪である」


 うちの先輩、大橋のふんどし小僧以下だった。

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