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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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ある朝

「では、今日も鍛錬に行ってくる」


 そう言い残すと、武士は颯爽と扉を開けて出ていった。元気なことである。あのバイタリティはぜひとも見習わねばならないだろう。

 しかし、見習うとしても明日からだ。今日の私は骨の髄までのんびりすると決めている。この決定は誰にも覆せない。


 ドアが開く音がした。


「手ぬぐい」


 お、忘れ物か。どんまい。そういうこともあるよね。


「では行ってくる」


 おう、いってらっしゃい。私はもう一眠りするとするよ。

 あまり入眠が得意でない私だが、二度寝は別だ。得意と言っても過言ではない。多分これもよくないんだろうな。でも眠りのリズムなんて人それぞれだから……。


 ドアが開く音がした。


「飲み物」


 お、また忘れ物か。水分は大事だからね。暖かくなってきたし、熱中症も心配だ。


「では行ってくる」


 おう、いってらっしゃい。さて、私はいよいよ二度寝を……。


 ドアが開く音がした。


「ぼうし」


 お、みたび忘れ物か。日差しも少しずつ強くなってきたからな。帽子を装着しておくに越したことはない。


「では行ってくる」


 おう、いってらっしゃい。


 ドアが開く音がした。


「むしとりあみ」


 お、玄関の外に珍しい虫でもいたか? いいな、あとで見せてくれ。


「では行ってくる」


 おういってらっしゃい。


 ドアが開く音がした。


「むしかごぉ!!」


 捕まえたのか……何の虫だった?


「たまむし!!!!」


 まじかよ! 見せろ見せろ!!

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