翌朝
最近は過ごしやすい気候になってきたため、朝早く散歩してみることにした。
嘘です。結局眠れないまま朝を迎えてしまったので、いたずらに部屋以外の環境で徒歩を試みたかっただけです。
朝日が昇ったとはいえ、この時間はまだ車通りがまばらだ。人間活動の準備運動と言ったところか。なおこれが少子高齢化が如実に反映された田舎だと、たとえ国道だろうとゆったり横になれるぐらい人気がなくなる。
やっぱ都会に住んでるんだなぁ。賑やかで埃っぽい昼間とはまた違う空気を吸い込み、私は二十四時間営業のコンビニへ足を向けた。
「うむ! よい朝であるな!」
んんんんだばばばばばばあわわわわわわハァッ!!????
アッ!!??? 武士!!!????
「大家殿がこの時間に起床とは珍しいな! いよいよ健康になってしまうぞ! ハッハッハァッ!」
あ~~~~やめてやめてお前の声は脳に響く。起きたっつーか寝てないんだよ。一睡もできてないの。
「またかような嘘で某を謀りおって」
たばかってない、たばかってない。マジで切実な問題なのよ。
ほら、時々話してるじゃん。私あんまり眠るの得意じゃないんだよ。
「あれは得意不得意の問題なのか?」
少なくとも私にとってはそう。枕変えてみたりパジャマ新しくしたり色々やってはいるんだけどねー。
「梨の礫というわけか。ならば昼間に思いきり運動してみてはどうだ?」
それでするっと眠れる場合もあるけど、逆に頭が活性化されて眠れない時がある。そういう日の翌日のパフォーマンスは最悪だ。
「むむ……しかし、それでも運動せねばならぬのではないか? 思うに、大家殿はまだ習慣が身についていないだけなのだ。体を動かすことが日々のこととなれば、いずれ健康的な眠りも訪れるであろう」
ぐうう、やっぱりそうかなぁ。確かに二日続けてすげぇ運動したらがっつり眠れそうな気もする。
「そうであろうそうであろう。ならば早速今より走ろうではないか!」
よっしゃ! じゃあ近くのコンビニまで走……あだめだ一歩踏み出すたびに頭痛がヘブッ!!!!
「大家殿ーっ!!!!」
教訓:寝不足でダッシュすると転ぶ。