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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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入眠困難

 私はもともと入眠に時間がかかるタイプで、下手すると数時間眠れず布団の上で転がり続け朝日を見るはめになる。これは幼い頃からそうなので、おそらく持って生まれた気質なのだろう(保育園でお昼寝もしない子供だった)。

 以前、業を煮やして精神科にかかったこともあるのだ。そこで医師に入眠導入剤を処方されたのだが、だらだらもらい続けていたある日「もう薬はやめましょう」と宣告された。「眠れなくてもいいじゃないですか」「一晩徹夜したら次の日は眠れるんです」「そういうものです」そう言われたのでそういうものかなと思い、私は薬から卒業したのである。


 以降、三日に一回はすとんと眠れるようになった。大進歩である。

 しかし残りの二日は夜と戦っている。もちろん今もだ。


「ぐおおおお~……」


 夜が明けるまでまだあと四時間はある。長い夜の無聊を慰めるならスマホは最高のお供だが、専門家は口を揃えて厳禁だと言う。でも眠れないのなら結局同じでは? 私にはわからない。


「ぶおおおお~ん……」


 こういう時のために読書灯を導入するべきだろうか。ワンルームは不便である。あんまり眩しくしてしまうと武士を起こしかねない。


「ぬおおおおお~ん……」


 いやもう起こしていいかな、これ。家主差し置いてすげぇいびきかいて寝てんだけど。


「むぉんむぉん」


 蒸気機関車? だめだ、夜だからかツッコミもおかしい。

 だがこんな場合に備えて私は耳栓を常備している。これがスグレモノで、多少の騒音(武士のいびき)ならしっかり遮音してくれる。しかも寝返りを打ってもあんまり耳に違和感が出ない。ありがてぇ。

 だがこれを装着すると、入眠するためのヒーリングサウンド的な音楽が聴こえにくくなるのが難点だ。当然だけど。


「ずおっ! んむむむむ、すぱっ!」


 しかし私はここでためらいなくヒーリングサウンドの音量を上げるのである。武士の耳にも届くかもだが、入眠用の音楽だからノーカンだろう。私はそう思う。

 すとんと眠れる方法を誰か教えてください。

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