月の気温差
「こんなに気温差が激しかったらととのっちゃうね(笑)」とサウナ好きの同僚に話したところ、「サウナー(サウナ好き)はどの温度でどれぐらい過ごすかをちゃんとコントロールしている。よってこの不条理な寒暖差じゃととのわない。死ぬ」と申しておりました。死なないでください。
「与えられた場所で生きていかねばならぬのだ」
武士は気温差に割と強いほうなのか、へこたれる私をよそ目に涼しい顔である。
「お天道さまが暑いと申せば、行水をして過ごすのだ。寒いと申せば、着物を着込んで乗り切るのだ。そうやって人は生きてきたのだ」
ふぅん、言うじゃん。でもお前、月でも同じこと言えんの?
「月? 月とは、夜に空に浮かぶあれか? さあ、行ったことがないので何ともだが、こことそう変わらぬのではないか?」
江戸の人、月が天体だって知ってるんだな。すげぇわ。
それがな、月ってめっちゃ大変な場所なんだよ。昼の場所と夜の場所がくっきり分かれていて、昼の場所の気温は一番高いところで110℃。夜の場所の気温は一番低い場所で-170℃になる。
「ひゃく……? まいなす……?」
0度は水が氷になる温度な。つまり-170℃は……?
「とんでもない気温差ではないか! 整う前に死ぬぞ!」
そう、お天道様がダイレクトに死ねと言う。それが宇宙。
「うちゅうとは、月や太陽が浮かんでおるところよな。その上、今我々が生きるここよりもずっと大きくて広いのであろう? なんとも珍妙な場所であることだ」
だな。
「ときに大家殿。月はあれ、実際はどれぐらいの大きさなのだ? 遠く離れたところにあるゆえ、小さく見えるのはわかっておるのだ」
月の大きさね。今調べる。えーと……。
円周が約1万921kmだって。だから(重力とか色んな要素省いて)時速60キロでドライブしたら、一週間ぐらいで一周できる。
「ほん」
どんな反応。
「いまいちピンとこんかった。だが、某がおつむにて考えるより、月はずっと大きいようだな」
ちなみに月の表面積が3,800万km2だから、東京ドームに換算すると812,747,299.8分。
「わからんわからん。なんだその単位は」
ちなみにここから月まで歩いて向かうとするなら、10年と352日と4時間かかるらしい。時速60Kmでドライブなら38週間ぐらい。
「わからんわからん」