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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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小銭稼ぎ

 ふと思う。私が小学生ぐらいの田舎を武士に見せることができれば、またこの時代への印象が違ったのだろうなと。

 思い出補正もあるのだろう。だが私が小学生の頃は、まだ近所の川でホタルを見られたし、駄菓子屋も普通にあって、真夏でも朝晩は涼むことができた。

 ところが今じゃどうだ。ハル(小声)、な゛つ゛!!!!、アキ(か細い声)、ふ゛ゆ゛!!!!


「朝から元気であるのお」


 逆だよ。寒暖差で自律神経と脳がやられてるんだよ。私はここまでだ。


「精神もやられておる……」


 お前が養ってくれたら元気出るかも。


「ふむ、ならば某にできることから始めてみよう」


 お、働く気になってくれた? つってもまだ戸籍取ってないからなー……。でも最近はタイミーなんてのもあるからいけるか?


「うむ、マルガリでな」


 丸刈り!? お前ちょんまげ一本で商売するつもりなの!?


「否。いらぬものを売れる市場があろう」


 ……?

 あ、メルカリか!! クソッ、今回はちょっと時間がかかった!

 つか家主の許可なくメルカリで物を売りさばくな! いずれにしろ私の財産じゃねぇか!!


「しかし、もう使わなくなった物が大家殿の押し入れで眠り続けるのは不憫であろう」


 それは……!

 ……そうすね……メルカリに出品するのとかも地味に面倒くさいし、いらない物は売ってくれると助かるな……。


「決まりであるな」


 こうして、武士は時々私の不用品をメルカリに出しては小銭を稼ぐようになったのである。手間賃として、いくらかは武士が自由に使えるようにしてある。先日は、シルバニアファミリー用の手作り帽子を買っていた。


「……しかしこうなってくると、押し入れにずっとしまっておる刀がいやに魅力的に見えてくるな……」


 武士の魂を売ろうとするんじゃない。

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