ハムの者を
「小さき命を守りたい……!」
武士の意味深な一言も、私の翻訳能力にかかればこのとおり。『ハムスターを飼いたい』となります。
駄目です。
「何卒!!!!」
昨日の栗ジャムと同じテンションで頼むじゃん。
「大家殿は愛らしき生き物に心は動かんのか?」
前も言ったけどさー、かわいいとは思うけど飼うとなったら話は別です。飼うってのは責任が伴うんだ。お前は外に出歩けるし、そこで友達と遊ぶこともできるが、ハムスターにはお前しかいないんだぞ。
「……わかった」
お、今回は物わかりがいいな。
「某も外に出ず、はむの者のみを友として生きることにする」
とんでもない共依存が誕生しようとしている。その場合私の立場はどうなるんだよ。
「某とはむの者を見守る者になる」
推しカプを眺める壁の概念みたいになっちゃった。嫌だよ、そんな未来。
「ならば大家殿も、某とともにはむの者がおらぬと生きられぬ人生を歩むか?」
ぶっちゃけ私結構そうなりがちなところあるから、ペット飼うの怖いんだよね。ペットってどうしても私より短命だし。
「そうなのか……。ッまさか、大家殿! 某のことも……!?」
いや、お前はそんなことないかな。
「ぬう……」
とにかくハムちゃんはよく考えな。病気や怪我だってするし、年だってとる。そのあたりも含めて命を飼うってことなんだから。
「……うむ」
よしよし。
「本を借りて調べることにしよう」
おおお、前向き……。




