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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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ハロウィンだったらしい

 昨日、ハロウィンだったらしいじゃないですか。


 年がら年中スーツで、季節感のあるイベントといえばクールビズぐらい。そんな独身サラリーマンである自分には、ハロウィンなんて基本的に縁の無いイベントである。


 そのはずだったのだが。


 昨夜家に帰ると、全身汗だくでカボチャをくり抜く武士がいた。


「おお、大家殿。えー……と、と、と……」


 私の帰宅に気づいた武士が何かを言おうとしている。

 あれか。トリックオアトリートとやらか。

 私は鞄をその場に置き、じっとヤツの言葉の先を待った。


 そして、武士はやっと答えに辿り着く。


「……冬至……?」


 惜しい。

 カボチャにまつわるエトセトラではあるけれど。


「今日は地獄の窯の蓋が開く日らしいな。それに伴い、魑魅魍魎がわんさと湧いて出てくると聞いた」


 あ、お前には若者のどんちゃん騒ぎが百鬼夜行みたく見えてんのね。認識としては間違いではないが、根本的に色々違うと思う。


 ……ところで、そのカボチャは何よ。


「お隣の秋澤さんからお裾分けだ」


 なんということだ。後でお礼を言いに行かねば。


 しかし、聞かなければならないことはまだある。


 武士よ。


 貴様の後ろに見える大量の菓子はなんだ?


「……」


 ……。


「……“はろいん”の時しか、これら愛い模様の菓子は手に入らぬらしくてな……」


 ……まあ、分かるよ。

 ハロウィン限定のパッケージって、可愛いの多いよね。

 期間限定の味なんかもあって、ソワソワしてしまう気持ちは自分もある。



 だが、許さん。




 こうして武士の買ってきた大量の菓子の半分は、私と同僚のオヤツ、及びお隣の秋澤さんへのお返しになったのだった。 (カボチャは適当にクッキーにした。武士喜んでた。)

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