ジャム
朝食、皆さんは何派ですか?
武士は今、パンにハマっています。
「ぬん」
起床後、勢いよく顔を洗い歯を磨いた後、武士はいそいそとトースターの前に移動する。そして四枚切りの食パンを二枚チンするのだ。いい焼き色になった食パンを取り出してマーガリンを塗り、更にいちごジャムを塗る。この時の武士はこの世の幸せがここに全て詰まったかのような表情をしている。
それから牛乳をお気に入りのコップに注ぎ、ヤクルトを添えて、食べ始めるのだ。
「いちご……よい……」
眺めていると、武士がうふふと笑い出した。
「ぶどうやみかんなども試したが……やはり、いちご。この赤きドロドロが、某の心を掴んで離さぬのだ」
お前、定期的にそれ言うよね。別のジャムは別のジャムでおいしく完食してたのに。
「いちごが頂点である」
そっか……。
じゃあ、この栗ジャムは私だけで消費しちゃおっかな。
「!!!???????????」
テーブルが揺れるぐらい驚くじゃん。
「なんぞそれは!!!!!!」
寝起きにはキツすぎる声量。何って、言ったとおり栗のジャムだよ。ほんのり甘くておいしいんだ。
「某にも!!!!!!! 何卒!!!!!!!」
でもお前のパン、隙間なくいちごジャムじゃん。
「否!!!!! ほれ!!!! ここにぱんの耳が!!!!!」
必死過ぎる……。しゃあねぇな。ほらよ、栗ジャムだ。
「かたじけない……! おおう、なんと素晴らしい黄金色に輝くことよ……」
栗だからな。
「いざ、いただきます!!!! はむっ! ほふほふっ! ほぅん!!」
それ、パンの咀嚼音として合ってるの?
「……ッ!!!! うまい!!!! これほどうまいじゃむがこの世にあったのか!!?? あったのだ、今、ここに!!!!」
興奮がすごい。
「おかわり」
いちごジャム食べてからにしな。
「今日はもう一枚ぱんを焼くことにしよう」
お前の好きなジャムの幅が広がってよかったよ。




