表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
529/678

ジャム

 朝食、皆さんは何派ですか?


 武士は今、パンにハマっています。


「ぬん」


 起床後、勢いよく顔を洗い歯を磨いた後、武士はいそいそとトースターの前に移動する。そして四枚切りの食パンを二枚チンするのだ。いい焼き色になった食パンを取り出してマーガリンを塗り、更にいちごジャムを塗る。この時の武士はこの世の幸せがここに全て詰まったかのような表情をしている。

 それから牛乳をお気に入りのコップに注ぎ、ヤクルトを添えて、食べ始めるのだ。


「いちご……よい……」


 眺めていると、武士がうふふと笑い出した。


「ぶどうやみかんなども試したが……やはり、いちご。この赤きドロドロが、某の心を掴んで離さぬのだ」


 お前、定期的にそれ言うよね。別のジャムは別のジャムでおいしく完食してたのに。


「いちごが頂点である」


 そっか……。

 じゃあ、この栗ジャムは私だけで消費しちゃおっかな。


「!!!???????????」


 テーブルが揺れるぐらい驚くじゃん。


「なんぞそれは!!!!!!」


 寝起きにはキツすぎる声量。何って、言ったとおり栗のジャムだよ。ほんのり甘くておいしいんだ。


「某にも!!!!!!! 何卒!!!!!!!」


 でもお前のパン、隙間なくいちごジャムじゃん。


「否!!!!! ほれ!!!! ここにぱんの耳が!!!!!」


 必死過ぎる……。しゃあねぇな。ほらよ、栗ジャムだ。


「かたじけない……! おおう、なんと素晴らしい黄金色に輝くことよ……」


 栗だからな。


「いざ、いただきます!!!! はむっ! ほふほふっ! ほぅん!!」


 それ、パンの咀嚼音として合ってるの?


「……ッ!!!! うまい!!!! これほどうまいじゃむがこの世にあったのか!!?? あったのだ、今、ここに!!!!」


 興奮がすごい。


「おかわり」


 いちごジャム食べてからにしな。


「今日はもう一枚ぱんを焼くことにしよう」


 お前の好きなジャムの幅が広がってよかったよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
武士殿、ヤク○トを愛飲せしことは、歯医者に行かれた際には内密に。 お医者によっては、熱意を持って止められますゆえ。 さほど好まなかった身としては平気ですが、涙目で我慢する武士殿が目に浮かび、老婆心なが…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ