◯◯言葉
世の中には◯◯言葉というものがある……。
知っているか、武士。
「褒め言葉……」
そうだな……私の定義が広すぎるのがいけなかった。花言葉とか宝石言葉の話をしようとしていました。
「それは何だ?」
花言葉なら、その花の特徴や成り立ちなどからそれっぽい意味を言葉で持たせたものだよ。たとえば薔薇の花言葉だと〝愛〟。薔薇は昔から愛と美の象徴だったからね。
「ほう。ならば桜は?」
今調べたら、〝純潔〟〝精神美〟があるな。
「ふむ、わからんでもない」
だよね。こんな調子で人はいろんなものに意味を持たせるのが好きでさ、花言葉以外にも宝石言葉やカクテル言葉、鳥言葉に魚言葉まである。
「賑やかであるな。アジの魚言葉は何であるか?」
生でよし、干してよし、焼いてよし、漬けてよし。
「有名なことわざではないか」
間違えた。魚言葉だとマアジが〝優等生〟だそうだ。
「ことわざとそう変わらんが」
面白いよね。他に気になるのある?
「うーむ……そうだ、雀はどうだ? 〝小さきもの〟〝あいらしさ〟などがそうではないかと思うのだが」
すずめね。すずめの鳥言葉は……。
〝親孝行〟。
「なにゆえ?」
調べたら、すずめが出てくる昔話の中にすずめが親孝行しているシーンがあった。
「その場しのぎでつけておるのかと思えば、存外しっかりした理由があるのか」
ちなみにカラスは〝ゴミ収集所〟。
「身も蓋もない」
マガレイは〝辛口カレー大盛り〟。
「また人を選ぶものを」
ヨコスジクロゲンゲは〝遠足前のうきうき気分〟。
「某クロゲンゲがよいな」
タチウオ〝おやつ300円以内〟。
「大家殿?」