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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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人間に向いていない

 今悲しみ期(仕事で大ポカした)なので、人間として生きていく自信を失っている。でも人間以外として生きてきたことがないので、どういう存在が私に向いているのかはわからない。

 植物?


「しかし植物は動けぬ分、近隣の者と気が合わねば数十年単位で肩身の狭い思いをすることになるぞ」


 武士が夢も希望もないことを言う。植物にも対人関係的なやりとりあるの?


「ないとは言えん」


 言えんかぁ。じゃあパスで。


「鳥はどうだ? いつ見ても自由気ままに飛んでおるぞ」


 あいつら縄張り争いが結構大変なんだよね……。渡り鳥になろうもんなら超絶過酷な旅に毎年出ないといけなくなるし、そもそも羽使って飛ぶのすげぇしんどそうじゃない?


「ならば他のものにするか。虫などはどうだ? 短く生きて子孫を残す。実に単純な生なれば悩むこともなかろう」


 ところがそうでもない。あいつらにも脳はあって、メスにフラレたら元気がなくなったりアルコールにハマったりすることが報告されている。むしろ人間みたいに理性で止められない分、その胸中は嵐かもしれない。


「ならばもう雨水になるのはどうだ? それならば、空から生まれ地に吸い込まれれば終わりだろう」


 どうだろうな。水って循環するから。空から落ち地に吸い込まれ、蒸発してまた空に昇り雲となって……と、果てのない繰り返しに囚われるのかもしれない。


「……」


 ……。


「どうせどこも向いておらぬだから、人間として面白おかしく生きるがよい」


 そうだな。今晩は酒盛りでもするか。

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