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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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寝坊

 寝坊をした。


 顔を洗い、うがいをし、眼鏡を引っ掴む。時計を見ると、いつも家を出る時刻は五分前に過ぎてしまっていた。


 半ば八つ当たりに近い感情で、武士に何故起こしてくれなかったのか尋ねようとする。


 が、ヤツの姿を見てそんな疑問は吹っ飛んだ。


「……すまぬ。大家殿は今日、休みではなかったのか……」


 刀の代わりに虫かごと網を携えた武士は、ドアの前でしょんぼりとうなだれていた。

 ……昨夜、赤トンボのいる公園特集をテレビで見たって言ってたもんな。私も行きたいなら連れて行ってやるとか言ったもんな。その流れでコレならそうなるよな。なんかごめん。


 ――が、残念ながら今日はトンボの日ではない。燃えるゴミの日なのだ。


 すまんが武士、捨てといてくれ!


「大家殿おおおおお!!」


 ゲ、缶の日も今日じゃん! 頼むぞ武士!


「約束が違うではないかーーーーっ!!」


 日曜な、日曜!

 あれ、日曜は動物園だっけ? いいやもう知らん。とにかくどこかに連れてきゃいいんだろ。ごめんごめん!


 あばよ!


 騒ぐ武士を放置し、私は靴を履き履き外に飛び出したのだった。

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