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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
518/677

梅は咲いたか

「大家殿、梅の花が咲いておるぞ」


 だいぶ暖かくなってきた朝。ベランダで洗濯物を干していた武士がこちらを振り返って言った。

 梅の花? ……ああ、あの桃色の花か。


「桃ではない。梅である」


 表現の話だよ。あの手の色になると桃色かピンクって呼ぶのが普通なの。


「梅色と言えばいい」


 そういう色もあるのかもだけど、日常で使ったことないな……。

 そもそも私、梅と桃の違いがわかんないんだよね。桜ならまあわかると思うんだけど。


「むむ、江戸に住んでおきながら情けない男だな」


 今はここ江戸じゃねぇし……。

 で、そういうお前は違いがわかるの?


「無論! 梅の花びらは丸く、また花枝がないため幹に直接花がくっついておるぞ」


 へぇ。


「そして桃の花は、花びらの先が尖っておる。また、こちらには花枝があるので桜と見間違いそうになるな。しかし桜のほうがこの花枝がわさわさしておる」


 なるほど。

 ……。

 じゃああの花、桃じゃん。


「ぬ?」


 ほら。双眼鏡貸してやるから見てみなよ。


「そーがんきょ……? なんぞこれはー!! まるで眼前に花があるかのようではないか!!」


 ここに来て初体験。

 いいからよく見てみなよ。あれ桃だろ? 花びらあるし花枝あるし。


「これは某の体が花のもとにあるのか? それとも花が某のもとに来ておるのか?」


 だめだ、双眼鏡に夢中だ。


「そうか! 某の目玉だけ花のもとに移動しておるのだ!」


 そんなわけないだろ! いいから花を確認しろ!!

 ※桃でした。

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― 新着の感想 ―
梅と桃、間違えますよね。 同じバラ科だし。 日常の中で季節を楽しむのが、 江戸では当たり前だったんだなぁ。 なぜかそこで、和服でも着てみようか、とおかしな方向に向いてしまいましたが。
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