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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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郵便代

 仕事から帰ってきた私を出迎えたのは、武士の尋常じゃないドヤ顔だった。曰く、封筒を大きさごとに整理整頓してくれたのだとか。ズボラな私にとっては大変ありがたい話だ。ドヤ顔がなければ完璧だった。


「しかし、なぜこれほど多様な大きさの封筒があるのだ。大は小を兼ねるというし、大きめのものだけをたくさん買えばよいのではないか?」


 いやー、それが大きさによって値段が違ってくるんだよ。だから節約しようと思うなら、適切な大きさの封筒にしたほうがよくてさ。


「ほう。たとえばこの封筒であれば、ここから大阪まで送るのにいかほどかかるのだ?」


 あー、そのサイズなら厚みに気をつければ100円ちょっとで送れるよ。


「……?」


 ん、どした?


「ひゃくえん……? ひゃく、ひゃくえん……?」


 おう、百円。つか大阪だけじゃないよ。日本全国どこへでもその金額で送れる。


「日本全国どこへでも!!? 海を越えねばならんこともあると聞くが!!?」


 飛脚じゃないから……。


「飛脚じゃないのか!!?」


 そりゃそうだろ、この数年何を見てきたんだ。

 ちなみに飛脚だったら、封筒ひとつ送るのにどれぐらいの値段がかかるの?


「封筒……書状であれば、ここから大阪まで大体銀一匁ほどであろうか」


 なんもわからん。つまりいくら?


「ぬぅ」


 わかりやすい八の字眉になりおる。ごめんごめん、自分で調べるよ。

 ……。

 今インターネットで調べてるけど、何を基準にするかよって金額が変わるな。1000円から2500円ぐらい? いずれにしても今とは段違いの値段だな。


「そうか?」


 いや、これ東京から大阪まで全力で走ってもらえる給料だと思えば安過ぎる気がしてきたぞ。江戸時代の人件費大丈夫か。

 とにかく、便利でありがたい時代になったものである。


「あとは大家殿に手紙をやりとりできる友さえあれば良いのだがな」


 大きなお世話だ。

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