表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
505/680

武士とこども

 休日、うちに近所の小学生男子たちが遊びに来た。


「ちょんまげー! あそぼー!」


 生憎私は今から仕事に行かねばならぬので、家にあげるわけにはいかない。しかし、武士が友人と出かけるのはもちろんオッケーだ。今日は近くの公園で影踏み鬼ごっこをするらしい。


「では行ってくるぞ、大家殿!」


 うん、こども達が危ない目に遭わないよう、しっかり大人のお前が注意してやるんだぞ。

 そう言って、私は武士を見送った。


 しかし、その五分後。さてそろそろ出勤しようかと立ち上がった時である。


「おじさーーーーん!! おじさーーーーーん!!」


 元気いっぱいのお子ボイスが近所に響き渡った。さっきの子たちである。なんだなんだ?

 ドアを開けると、興奮した様子の少年と目が合った。


「おじさん! あのね、ころんでさー! ころんで、血がいっぱい出た! すげーびっくりしてね! おじさんに助けてもらおーって!」


 おん? ……えっと、誰か転んで怪我したの? そりゃびっくりしたし痛かったよね……。わかった、手当てしたげるから玄関入りな。どの子が怪我したの?


「ちょんまげ!」


 お前かい!!!!


 見ると、半泣きになった武士の月代を女の子がヨシヨシとしていた。


「両膝を擦りむいてしもうた……!」


「ちょんまげ、だいじょぶよー。今手当てしてもらうからね!」


 なんでお前が世話をされる側なんだよ。仮にも成人男性がこんなことじゃだめだろ。しっかりしろよ。

 しかしそうツッコむと、こどもたちから一斉に「ちょんまげいじめるなー!」と抗議の声が入った。頼りない武士だが、こどもたちからは慕われているようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ