UV
夕食時、武士とテレビを見ていた時のこと。
「大家殿、明日は勤めに行くべきではないと思うのだが、いかがか」
突然、神妙な顔をした武士にそう言われた。なんだ? 何か不安なことでもあったか?
そういえば、最近物騒だもんな。通り魔とか正直他人事じゃないと思う。もしや、近所で不審者の目撃情報があったとか……!
「否。不審者はおらぬのだがな」
私の目の前以外には?
「急に裏切るでない。違う。先程てれびを見ていた折に、明日は〝強い〟ので注意をしろと役人が申しておったのだ」
お前、お天気キャスターさんのこと役人って呼んでんの? まあいいや。強いって何の話だよ。
「それがなんだったか……。確か、ゆんぶい? ぷい? とにかくそれ自体も強そうな名前であったのだ。某が思うに、おそらく化物の類いではないだろうか」
化物の注意報をテレビで流すかなぁ!? えーと、ゆんぶい……ゆ……ぶい……。
あ、もしかしてUVのことじゃない?
「ゆーぶいという化物がおるのか?」
化物じゃなくて紫外線だよ。日焼けの原因になったりするし、天気予報でも流してるんだ。
「しが……ぬ……? つまり、あやかしの類い……?」
わからないことをすぐ妖怪のせいにするんじゃない。あれだ、太陽の光のこと。
「ほう、そうだったのか。某もまだまだ知らぬことが多いな。とにかく大家殿、不安を煽ってしまいすまなかった。明日もしっかり勤めを果たしてくるがよい」
いや……UV強いなら休みてぇな。
「日焼け止めを塗っていくがよい」