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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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はらいた

 猛烈な腹痛に襲われた。人間は脆い。人間はというか、ピンポイントで私という人間の腹が脆い。たとえば寝不足だったり、そうでなくても普段食べつけないものを食べた日は必ず胃がびっくりして抗議の声をあげる(腹痛)。深窓の令嬢よりも反応が過剰だ。

 そんな本日のラインナップは、パスタソースのペペロンチーノである。鷹の爪がしっかり私の胃に食い込んでいるのがわかる。痛い。


「哀れであるのう」


 そしてこちらは毎度おなじみ武士です。鋼鉄の胃の持ち主であり、もちろん鷹の爪も弾き返している。


「ならば、あれをやるか」


 なんだなんだ、何をやるつもりだ。胃薬も飲んだし、今はできるだけそっとしておいてほしいんだが。

 武士は私の枕元に座ると、神妙な顔で右手の人差し指と中指を立て、私の腹の上に置いた。


「いたいの、いたいのぉ~……」


 それから大仰な動きで、右腕をピンと伸ばした。


「破ァッ!!!!」


 あ、飛ばすんじゃないんだ。その場で滅するタイプのやつなんだ。


「いたいの、いたいのぉ~……」


 まだやるんだ……。


「破ァッ!!!!」


 わかんないけど、そういうのって一発で決めないといけないんじゃない?


「ぬ、治ったのか?」


 いや、まだ全然痛いけど……。


「破ァッ!!!!」


 ぐっふ! やめろ! 立てた中指と人差し指で腹を突くな!


「破ァッ!!!! 破ァッ!!!!」


 げほっ! ぐふっ! やめろ!!

 ……あれ? でもちょっと腹の痛みがマシになってきた。まさか、武士のアホな動きが偶然ツボ押しマッサージになって胃を刺激した……?


「破ァッ!!!!」


 もういい!! やめろ!! ただの怪我の功名だから!!

 良い子は決して真似しないでください!!

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