サイコパス診断
サイコパスを自称する人間をドSを自称する人間と同じぐらい嫌う会会長の私です、おはようございます。
巷には随分前からサイコパス診断なる眉唾物がありますが、占い大好きニッポンジン、Youtubeなどで時々盛り上がっているのを見かけることがあります。まあ真に受けなければおもしろおかしく楽しめるのかなと思うのですが……。
ある日、武士から神妙な顔で言われたのである。
「大家殿……某は、さいころばすだったかもしれん」
サイコロバス……?
「間違えた。さいくろぷす」
1つ目の怪物……?
「さい……さいこ……さいく……? ばす!!!!」
最後のバスはかなり高精度なのかな。
……。
あ、サイコパスか! やめろ、時々発生する「某のうろ覚え単語なーんだ?」クイズ!
「某はさいこぱすだったかもしれん」
そんなわけないだろ……。ガチのサイコパスは自分がサイコパスだと世間に知られたら警戒されるから黙って無害そうな顔するもんだよ。そういう意味ではお前がサイコパスだったら完全にただのアホに擬態できていてすごいなって思うけど。
「今某は貶されたのか? 褒められたのか?」
褒めた褒めた。
でもなんだって自分がサイコパスだって思ったの? テストでもした?
「てすと?」
サイコパス診断みたいな……。よくあるじゃん。「夫の葬儀にやってきた坊さんに一目ぼれをした未亡人。その夜に息子を殺害した理由とは?」とか。
「む……。なかなか難問であるな。人の気持ちなどそうやすやすと計れんだろうに」
まあ答えてごらんよ。なんでだと思う?
「そうだな……先ほど、坊さんに一目惚れしたと申したな? ただそれだけで息子を殺すとはなかなか考えられん。さては、坊さんに想いの丈を告白する前に息子に相談したが、やめておけと諭されたから、だろうか。そこで口論となり、頭に血がのぼった奥方が息子を突き飛ばしたところ、たまたま後ろにあった巨大なる花瓶に頭をぶつけてしまい息子は帰らぬ者となったと」
……おおー。
「どうだ、さいこぱすか?」
違うね……。
「なんと」
サイコパス的正解は、「息子を殺して葬儀を行えばまた坊さんに会えると思ったから」だ。
「しかし息子を殺した咎で自らが牢に入れられては葬儀にも出られぬのではないか?」
そこまでは考えていないんだよ。サイコパスだから。
「さいこぱすは間抜けなのか?」
罪を隠し通す自信が伴ってこそのサイコパスなのかもしれない。
「さいこぱす、難儀なる者」
でもサイコパス診断でサイコパス判定されたんじゃないんなら、何があってそう言われたのよ。
「実は大家殿がおらん時に、ご近所の童の昼餉にお呼ばれしてな。手巻き寿司だったのだが、そこで葉っぱをびりびりにちぎって酢飯に乗せていたところ、童にさいこぱすだと叫ばれたのだ」
ああ、なんだ。こどもにありがちなおふざけだよ。それぐらいでサイコパスなんて判定できないんだから。
「そうか、ならば安心した。周りを見ても葉っぱをそのまま乗せておる者ばかりで、爪の先ほどにちぎっておる者は某しかおらんかったから少々恥ずかしかったのだ」
手巻き寿司に乗せる葉っぱをそこまでビリビリにしてたの!? サイコパスかはわかんないけどヤベェやつだよ!




