表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
499/679

サイコパス診断

 サイコパスを自称する人間をドSを自称する人間と同じぐらい嫌う会会長の私です、おはようございます。

 巷には随分前からサイコパス診断なる眉唾物がありますが、占い大好きニッポンジン、Youtubeなどで時々盛り上がっているのを見かけることがあります。まあ真に受けなければおもしろおかしく楽しめるのかなと思うのですが……。


 ある日、武士から神妙な顔で言われたのである。


「大家殿……某は、さいころばすだったかもしれん」


 サイコロバス……?


「間違えた。さいくろぷす」


 1つ目の怪物……?


「さい……さいこ……さいく……? ばす!!!!」


 最後のバスはかなり高精度なのかな。

 ……。

 あ、サイコパスか! やめろ、時々発生する「某のうろ覚え単語なーんだ?」クイズ!


「某はさいこぱすだったかもしれん」


 そんなわけないだろ……。ガチのサイコパスは自分がサイコパスだと世間に知られたら警戒されるから黙って無害そうな顔するもんだよ。そういう意味ではお前がサイコパスだったら完全にただのアホに擬態できていてすごいなって思うけど。


「今某は貶されたのか? 褒められたのか?」


 褒めた褒めた。

 でもなんだって自分がサイコパスだって思ったの? テストでもした?


「てすと?」


 サイコパス診断みたいな……。よくあるじゃん。「夫の葬儀にやってきた坊さんに一目ぼれをした未亡人。その夜に息子を殺害した理由とは?」とか。


「む……。なかなか難問であるな。人の気持ちなどそうやすやすと計れんだろうに」


 まあ答えてごらんよ。なんでだと思う?


「そうだな……先ほど、坊さんに一目惚れしたと申したな? ただそれだけで息子を殺すとはなかなか考えられん。さては、坊さんに想いの丈を告白する前に息子に相談したが、やめておけと諭されたから、だろうか。そこで口論となり、頭に血がのぼった奥方が息子を突き飛ばしたところ、たまたま後ろにあった巨大なる花瓶に頭をぶつけてしまい息子は帰らぬ者となったと」


 ……おおー。


「どうだ、さいこぱすか?」


 違うね……。


「なんと」


 サイコパス的正解は、「息子を殺して葬儀を行えばまた坊さんに会えると思ったから」だ。


「しかし息子を殺した咎で自らが牢に入れられては葬儀にも出られぬのではないか?」


 そこまでは考えていないんだよ。サイコパスだから。


「さいこぱすは間抜けなのか?」


 罪を隠し通す自信が伴ってこそのサイコパスなのかもしれない。


「さいこぱす、難儀なる者」


 でもサイコパス診断でサイコパス判定されたんじゃないんなら、何があってそう言われたのよ。


「実は大家殿がおらん時に、ご近所の童の昼餉にお呼ばれしてな。手巻き寿司だったのだが、そこで葉っぱをびりびりにちぎって酢飯に乗せていたところ、童にさいこぱすだと叫ばれたのだ」


 ああ、なんだ。こどもにありがちなおふざけだよ。それぐらいでサイコパスなんて判定できないんだから。


「そうか、ならば安心した。周りを見ても葉っぱをそのまま乗せておる者ばかりで、爪の先ほどにちぎっておる者は某しかおらんかったから少々恥ずかしかったのだ」


 手巻き寿司に乗せる葉っぱをそこまでビリビリにしてたの!? サイコパスかはわかんないけどヤベェやつだよ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ