本当に昔のコロコロコミックについて語るだけ
用事があって、武士と一緒に友人宅を訪問していた。その折、うっかり遊戯王マスターデュエルをデュエルマスターズと言い間違えてしまったのだが……。
「デュエルマスターズは切札勝舞君だね……!」
友人の妻が控えめに、しかし強かな口調で添えたのである。
かつてコロコロコミックで連載されたデュエルマスターズの主人公の名を知っているとは……もしやあなたは!
「確か、お父さんを探す話だったっけ?」
そう! 切札勝利さん!
ご存じですか。未だにでんぢゃらすじーさん、コロコロで連載されてるんですよ。
「本当? 息が長いね。当時のキッズたちにとってでんぢゃらすじーさんの初連載がどれほど衝撃的だったか……」
ええ、ゲーム史におけるドラクエ発売レベルでした。あの不条理ギャグには一気に心を掴まれましたもんね。そういえば曽山先生、M―1に出られたこともあるんですよ。
「マジか」
ギャグに人生をぶち込みすぎている。
でも息が長いといえばスーパーマリオくんの沢田ユキオ先生もとんでもないですよ。あの方もずっと続けておられるし。
「すごすぎる。マリオの漫画も何本か知ってるけど、あの人ほど描いている人はいないでしょう。先生自らマリオをプレイして漫画を描いているんだっけ?」
はい、単行本の作者近影でそうおっしゃっていました。その時はお子さんとプレイされていて、いいお父さんだなぁと思ったものです。
ところで、当時ゾイドの漫画が連載されていたのを覚えていますか。
「ああ、あのめちゃくちゃ面白かった漫画。他の漫画とは雰囲気が違っていたけど、絶対読んでた」
わかります、絵柄も内容もちょっと大人っぽかったんですよね。でもその大人っぽさがまた憧れる理由でもあり……。
で、その上山道郎先生。今、乙女ゲームの悪役令嬢に転生したおじさんの漫画がバズってアニメ化までしています。
「マジで!? 全然方向違うじゃん!」
ところがそうでもないんです……! 読んでいたら召喚獣を召喚するシーンがあったりするんですが、その造形がどことなくゾイドを彷彿とさせたり!!
「ジーク……! かわいかった、ジーク……!」
そして相変わらず女の子が抜群にかわいいです。全体的にコメディ調であり、良識的なおじさんならではの視点で若い登場人物たちを見守っているので、コンプライアンス的にも一切問題がなく安心して読めますね。ぜひ機会があれば読んでください。試し読みだけでも。
「ええ、必ず」
すっかり昔のコロコロコミックで盛り上がってしまった。一方、武士と友人は終始ぽかんとしていた。
そういえば、友人も一度だけ武士に話を振ってたな。
「……ジャンプ、読んでた?」
「じゃんぷ……」
武士は、少し考えたあと小さく跳ねていた。私は見なかったことにした。