アンガーマネジメント
先日、武士のちょんまげを見て堂々と悪口を言ってきた驚くべきオバサマに遭遇した。武士は基本的に黙っていられない性格なので、「おぬしも節操のないチリチリ頭ではないか!」と言い返したところ、激昂したオバサマはなぜか私に文句を言ってきた。確かに喧嘩(?)を吹っかけてきたのはオバサマだが、その喧嘩を買った時点で武士側にも多少非はある。そこでひとまず場を取り成そうと思い、口をついて出た言葉。
「いやー、すいませんねぇ。こいつ、生まれてこの方愛されて生きてきたので本音を控える術を知らないんですよ」
私まで怒られてしまった。これでも営業マンなんだけどな。
そういうわけで武士、アンガーマネジメントを学ぶぞ。
「アンパンマン……?」
アンしか合ってねぇな。いや、アンガーマネジメントという点でアンコ詰まりし心優しいヒーローに学ぶべきところはたくさんあるんだけど。
アンガーマネジメントだよ。怒りをコントロールする方法。私の職場でも講習会に行く人多くてさ、もう5回は行ったって自慢している人もいる。
「それは効果が出ていないのではないか?」
とにかくやるぞ! まず、6秒ルールってのを意識しよう!
「6秒るーる」
そう。ムッとした時には何か言いたくなると思うんだけど、それを堪えて6秒間だけ待ってみるんだ。怒りってのは衝動的な感情であることも多いから、そうすることでかなり頭が冷えやすくなる。
「では、6秒経っても一向に怒りが収まらん場合は?」
それは……えー……。
「むしろこの6秒の間にしっかりと言いたいことが熟成されるために、言葉としてはより鋭利になると思われる」
……。
違う違う。怒っちゃうとさ、相手を怖がらせたり怒らせたりして、結局自分が本当に望んでいることから離れちゃったりするじゃん。そうなるとお前が損じゃん?
「否、無礼を申す者には然るべき態度を取るべきだ。甘い顔を6秒見せている間、その者は我が意を得たとばかりに次から次へと罪を重ねているだろう。そのほうが某の損だ」
それは……確かにそうだけど。
いやいやいや、お前意外と血の気が多いんだね? そんなんじゃアンガーマネジメント講師の餌食だよ。江戸ではどう生きてきたんだ。
「江戸では、武士にあのような口をきく無礼者は、場合によっては斬られても当然であった」
そっか、帯刀の時代か……。
……。
刀は相手をアンガーマネジメントする究極の手段です。