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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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マジバナ

 職場にて、「なんて奥ゆかしい人なんだ」と言いたいところを「なんて太ましい人なんだ」と言い間違えてしまい、信じられないほど顰蹙を買ったのは私です。「いや、太いのは人間性で」「心根のほうで」と言い訳しましたが、すればするほど必死さのほうが伝わってダメでした。誰か私を殺してください。


 そういうやらかしをした翌日。恨めしいほどのびのびと広がる青空を窓越しに背負った武士が、言った。


「大家殿、朝食は少し歩いた店に食べに行かぬか」


 ああ……確かに歩いていける範囲にコメダカフェあるね。いいよ。でも突然どうしたの?


「うむ。実は道中、大家殿と“マジバナ”をしたいと思ってな」


 本気話マジバナを?

 ……そうか。そういうことならいいよ。なんでも話してみてくれ、私でよかったら聞くから。


「そこまで身構えんでよい。気楽にな」


 そう答えて笑う武士の顔は、冬の太陽よりも輝いて見えた。

 ……どうしようもない私だが、こうやって頼りにしてくれる人がいるのは心が救われる気持ちになる。よし、今日は武士の相談マジバナをしっかり聞いてやるぞ!




 そして、外。


「それでは行くぞ、大家殿! マジカル、バナナッ!」


 いや、


 マジバナってマジカルバナナの略かよ!!!!


 そんなことある!!!?


「バナナといったら!?」


 す・べ・る!!!!


 こうして私と武士はコメダカフェまでマジカルバナナをして過ごした。あまりの衝撃に自分のどうしようもなさまで吹き飛んだ。どんな悩みもマジバナ(マジカルバナナ)の前では無力である。

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