出勤拒否
突然の寒波に人はあまりに無力。できることといえば、可能な限り家に引きこもって寒波が過ぎ去るのを待つのみだ。
仕事さえなけりゃあな!! 行ってきます!!
「うむ、掃除洗濯買い物は某に任せるがいい!」
くそぉぉ~……! 家にいるのが羨ましいのに掃除洗濯買い物は素直にありがたいから悪態がつけない! お前もすっかり家事が板についたね! 頼んだ!
それじゃ私は仕事への第一歩を……。
しかしドアを開けた瞬間、とてつもなく冷たい風が家の中に吹き込んできた。
私の心→ ――
私の心→ ― ― <折れた!
あーーー無理無理無理無理無理です! ギブアップ!! なんで!? なんでこんなクソ寒い日でも顧客は私を待ってんの!? 健気なの!? みんな家にいようよー!!
「どうした」
仕事に行きたくねぇぇー……。
「ならば休むか?」
それができたらこうなってないんだけどね。
いや、ごめんごめん。外が寒すぎて心が折れてただけだよ。もう大丈夫。
「そうか。ならば道中気をつけて向かうがよい」
うっす。いってきま。
満を持してドアガチャ。
風ぴゅううううううううううううう!!!!
私ドアバタン! 全力踵返し! こたつイン!
おやすみ!!!!!!!
「大家殿~~~~~~~~」
うるせぇ~~~~~~!!!! こんな日に出勤なんかやってられっか!! 有休有休!!!!
「上様には何と申し伝えるつもりなのだ?」
風が騒がしくて行けません。
「鞭打たれるぞ」
マジで? この言い訳、江戸基準でもそんなに厳しいの?
 




