表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
489/679

甥っ子とピアノ

 甥っ子との会話は続く。


「おれね、ピアノ弾けんの」


「てぃあも?」


 ティアモなわけないだろ。イタリア語で「愛してる」だぞ。


「ピアノ知らん? これ」


 そう言うと、甥っ子はiPadを取り出した。ピアノを模したアプリを開き、鍵盤に指を置く。器用に音を鳴らす甥っ子に、武士は目を丸くした。


「すごいではないか! なんっ……なんぞ、この面妖な琴は!」


 琴じゃないよ。ピアノだよ。


「琴にしては形も音も鳴らし方も違う……! なんだ!?」


 なんだじゃないよ。ピアノだっつってんだろ。

 一方、驚く武士に甥っ子は得意満面だ。


「マジでピアノ知らんの!? おれ、うまいほうだよ。きいて。曲ひくから!」


 お、すげぇじゃん。なになに? チューリップとか聴かせてくれんの?

 ……。

 マジかよ。天国と地獄弾いてんじゃん……。


「めっちゃ練習した」


 すげぇー。

 な、武士。甥っ子すげぇね。


「さすが某が認めた才」


 いつのまに後方腕組み師匠面ができる余裕取り戻したの?

 いやでもマジですごいよ。小学生でそれ弾ける子いないんじゃない?


 そう尋ねると、甥っ子は少し眉を曇らせた。


「そうでもない……。コンクールとか出たら、すごい人いっぱいいる……」


 ああー……コンクールはね。ガチ勢が集う空間だもん。そりゃそうだ。

 大丈夫大丈夫。おじさんはすごいって思ったよ。これからも楽しんで続けてよ。また聴かせてほしいな。


 な! 武士もそう思うよな!


「よねつげんじを奏でたいのだが、どうすればよいのだ?」


 早速教えを乞うとる! この武士、新しいものへの抵抗と若き才能への嫉妬がまるでない!!

 そんで濁点の位置フルで間違ってんぞ!! 大好きなら覚えろ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ