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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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節分~2025~

 今年の節分は2月2日。そう、今日である。


「豆を投げたい」


 そして武士のこの要望! だが例によってうちはアパートであるため、おいそれと外へ内へと豆まきができる環境にない。鳩避けスプレーを撒いている人もいるぐらいだ。うっかり豆を撒いて鳩を招こうものなら、ご近所トラブルという鬼を迎えかねない。

 そこで、去年などは袋に入った豆を投げることで節分としていたのだが……。


「否。今年は、むんずと豆を掴んで投げたい」


 やれやれ。こうなったら豆の代わりにお前の頭をふん掴んで外にぶん投げるしかないかな。

 だーかーらー! だめなの! せいぜい家の中で豆を撒くぐらいならできるけど、外は難しいの! なんなら掃除の観点で家に撒くのもやめてほしいぐらいだ。


「ぬぬう」


 ぬぬうじゃない。今日のお前は駄々っ子だねー?

 クソッ、しゃあねぇ。こうなったら理屈で解決してやる!


 ここにミカンが入っていた赤い網袋があるじゃろ? ここに豆を入れて……。

 はい、武士。あげる。


「なんぞ、これは」


 お外用ぶんぶん豆回し鬼退治袋。


「ぶんぶん豆……なんぞ?」


 今からお前はこれを持って外に出て、鬼は外と唱えながらぶんぶん袋を振り回すんだ。そうすれば鬼は豆とお前の奇行に恐れをなし、今年一年家に近づかないだろう。


「ほう」


 で、気が済むまで袋を回して帰ってきたら、中の豆を全部食べる。そうすればお前は鬼を払った強い豆を体内に取り入れ、今年一年無病息災でいられるだろう。


「ほう」


 それ行ってこい!!


「行って参る!!!!」


 ……。

 こうやって文化は少しずつ姿を変えていくんだな……。

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