表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
484/679

ミシン

 布団カバーが盛大に破れたが、結構きれいな破れ方をしていたので縫って再利用しようと思った。しかし手縫いでは少々骨が折れる作業になりそうだったので、大家さん(私が住んでいるアパートの真の大家さん)からミシンを借りてきたのだ。

 さて、かなり久しぶりに使うけどうまく使えるかな……。


「ぬ。なんぞ、そのからくりは」


 いつものように、のそのそとやってきたのは武士である。こいつはどこも破れていないからミシンは必要ない。


「みしん? みしんというのか? 何に使うのだ?」


 早速気になったと見え、ぺちぺち叩いたりしている。やめろやめろ! あぶないよ!

 ほら見ろ! ここ、鋭い針がついてるだろ!?


「? うむ」


 よく見てな。スイッチを入れて、このボタンを押せば……。


 ドドドドドドドドッ!!(針最大速度)


「ぬおおおおおおおおおおおおっ!!!???」


 武士はぴゃっと飛び退いた。私の背中に隠れてぶるぶると震えている。


「拷問のためか?」


 違うよ! 裁縫道具のひとつだよ! 針と糸を使って自動で縫えるの!

 そんで拷問なわけないだろ!! 現代日本に住む平和的一般人だぞ私は!!


「……ほう……」


 裁縫もできる武士、また興味が出てきたらしくひょっこりと出てきた。今度は私も針を遅めに設定し、ゆっくりと本命の布団カバーを縫い始める。確か返し縫いとかしなきゃいけなかったよな……。


「ほう……ほほう……これは便利だな……」


 武士はうんうんと頷きながら観察している。ふふん、そうだろう。これもまた現代文明の光だ。


「大家殿、縫い目が盛大に右に曲がっておる」


 いいんだよ、これ家で使う用だから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ