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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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車の免許

 武士が現代日本にやってきて数年が経った。さすがに情のひとつやふたつが湧くというもので、(私の機嫌と懐事情が良ければ)叶えられる範囲の願いなら叶えてやりたいと思うこともある。

 おーい、武士。なんか願い事ない?


「車を運転してみたい」


 む……


 無免許ーーーーーーーっ!!!!



 最初こそ車におののき恐れまくっていた武士であったが、元より好奇心旺盛な性格である。こんな日が来るのは想像に固くなかった。


「あの奇っ怪な自動籠を操ってみたい。某も車をぶんぶんいわせてみたい」


 ウキウキしているところ申し訳ないが、それは無理なんだ。なぜならお前は無免許だから。


「むめんきょ……ああ、ちゃんとした医師のように免許状がいるのか?」


 ちゃんとした医師のようにってなんだよ。免許持ってない医師がいるわけ?


「むしろ圧倒的に多い」


 怖ぇな、江戸。


「して、車に乗るにもその免許状とやらが必要なのか。それは少々面倒だな」


 鉄の塊を動かすわけだからね。操り方とか共通ルールとか学んでおかないと、無限に死人が出るんだよ。


「ううむ、それもそうか。ならば、某も免許状を取りに行くぞ」


 それがなかなかハードル高いんだよな。教習所ってとこに通わないといけないんだけど、大体20万円以上かかるし。


「にっ……!?」


 そして恥ずかしながら我が家の家計にあまり余裕はない。


「う、うむ、それは某も謹んで辞退させていただく。そうか……車を操るのも難儀なものだな」


 そう呟くと、武士は窓の外に目をやった。ちょうど幼い子が三輪車をこいでいるところだった。


「あの者も、苦労して免許状を取ったのか……」


 いや、あの者の車はまた別のものでして……。


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