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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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泡風呂

 仕事で面倒をみた後輩から、お礼にとバスボールを一つもらった。

 もらったなら、使ってみようではないか。そう思い、風呂場にぶちこんだ。



 まさか泡風呂になると思わないではないか。



「アワアワではないか! すごいぞ、大家殿! これはどういう仕組みだ!? おおっ、波立てれば波立てるほどまた泡が増える! おおっ!」


 浴槽から溢れ出す泡の洪水に、案の定武士は大はしゃぎである。服を脱ぐのももどかしかったのか、ジャージのまま突っ込んだ。


 なぁ、一応確認するんだけど、お前成人してるんだよな?


「某、一度雲の上に乗ってみたかったのだ。これで半分夢が叶ったな!」


 ……叶ってるかなぁ……。


 大好きなオモチャで遊ぶ犬のようにバチャバチャしている武士はご満悦だ。

 呆れて見ていたら、私の感情を勘違いした武士が明るい声をかけてきた。


「大家殿も来るがいいぞ! 楽しいぞ!」


 行かねぇよ。一人でやってなさい。


「む、そうか? ならば全ての泡で遊び尽くすが……構わんか? 少し残しておいた方がいいか?」


 残さんでいいよ。思う存分遊びな。


「よし!!」


 武士はまた頭から泡に飛び込んだ。元気なヤツである。

 私はそっと風呂の戸を閉めた。見たいドラマも溜まっているのだ。武士を放置して、リビングへと戻った。



 三十分後、完全にのぼせた武士を風呂場から救出しなければならなくなるとは、この時の私は知る由もなかったのである。

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