表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
467/679

急な高熱

 食欲を生命力のバロメーターだと思っているので、人が食欲をなくすと心配になる。

 ところでこちらにおりますのは、昨夜突然高熱が出て食欲を失った武士です。解熱剤もきかないし、さすがに病院かな。でも休み明けの病院は患者さんが多くて、逆に風邪をもらってきそうな気も……。


「ぬぬん」


 力のない鳴き声にそちらを見ると、武士が台所に向かってずるずると這いずっているところだった。何してんの?


「腹は減っておらぬが、昨日大家殿が買ってきてくれたどーなつだけは食べたい」


 ああ、ミスタードーナツ……。食欲がなくても欲はあるみたいだな。安心した。

 ドーナツをちびちび食べる武士を見守りつつ、出勤。解熱剤が切れていたことを思い出し、昼休みを利用してドラッグストアに来た。ここは薬剤師さんが常駐しているので、気軽に相談できてありがたい。

 昨晩武士に使った市販の解熱剤が効かなかったことを相談。他に効きそうな薬はないだろうかと薬剤師さんに尋ねたところ……


「病院を受診するほうがいいですね。市販の解熱剤が効かないならインフルエンザの可能性もあるので」


 そういうわけで、急遽半休をもぎとって帰宅した。オラァ武士! 病院カチこむぞ! 準備しろ!


「一揆!?」


 こんな小規模な一揆があるか! もしかして幻覚見えてる!? いいから病院だ!




 検査の結果、インフルでもコロナでもないと判明。全然熱が下がらないだけの気合いの入った風邪だということがわかった。


「ふぁみちきたべたい」


 これは病院帰りの武士の発言。解熱剤をぶちこんだのち、もりもり食べ始めたのでひとまず安心した次第である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ